転職面接では自分が発した言葉をどんどん深堀りされますが、そこで答えに詰まってしまう人には共通点があると、株式会社キャリア・エックスのCEO兼コンサルタントの東海林浩樹氏はいいます。転職希望者が面接で自信を持って受け答えできるようになる方法をみていきましょう。※本記事は、株式会社キャリア・エックスの『転職コラム』から転載したものです。
「あの、えっと…」転職面接で受け答えに詰まる人の共通点【転職エージェントCEOが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

転職のための自己分析に必要な2つのポイント

では、具体的にどのような観点で自己分析をしていくとよいか、ポイントは2つあります。

 

1.現職のポジティブポイントとネガティブポイントを言語化する

まずは、この2点を言葉にして挙げていくことから始めましょう。

 

ポジティブポイントとは、「今の会社に残りたいポイント」「残ったらどんなキャリアが形成されそうか」など。ネガティブポイントは「なぜ現職ではダメなのか」「現職にどんな不満があるのか」などです。

 

これらを言語化することで今の会社に残る方がいいのか、転職した方がいいのか、そもそもなぜ転職したいと思っているのか、といったことが大まかに整理できます。

 

そして次に、主にネガティブポイントを裏返し「仮に転職するなら何を一番叶えたいか」ということを整理します。

 

一番叶えたいこと、転職の一番の目的が明確になれば、受ける会社を検討する際に「現状が70点とすると、この会社を受ければ85点くらいにできる可能性があるだろう」という感じで、受ける会社・受けない会社を大まかに判断できるようになります。

 

2.現職だけでなく、過去もさかのぼって自分の「価値観の根源」を知る

これは、自分自身の価値観や性格など整理するときに必要な視点です。価値観や性格に影響を与えた物事や原体験は、仕事を始める以前の学生時代にあることが往々にしてあります。

 

例えば、「ゆくゆくはマネジメントをやりたい」という方に理由を尋ねると「マネジメントできた方が、市場価値が高まるから」という答えが出てくることがあります。ただ、より詳しく話を聞いていくと、もっと根源的な、例えば「人を育てて組織の成果を最大化することにやりがいを感じる」などといった価値観がその人にあり、その価値観に至ったのは大学時代にサークルを立ち上げた経験からだった、ということがあります。

 

このように、学生時代の原体験に基づいた強い価値観を持ち、それを社会人になっても成し遂げたいというストーリーになれば、「市場価値が高まるから」といった誰でも言える理由よりも、明らかに一貫性も説得力もあります。

 

仕事をする上で大事にしている価値観や考え方が、どんな経験によって形成されているのか、何から影響を受けて生まれたものなのかを、学生時代までさかのぼって振り返ってみましょう。

 

そうすることで、大事にしている価値観の解像度が上がっていったり、新たなキャリアの方向性に気づいたりすることがあります。

 

私が面談を行うときも、「成長したい」とおっしゃる方には、「そう思うようになったきっかけは何か」「どんな人・事柄に影響されたのか」「どんな時に成長したと感じたのか」などを掘り下げるために、学生時代までのご経験を振り返っていただきます。

 

また、「尊敬できる人と働きたい」とおっしゃる方には、「今まで会った尊敬できる人ってどんな人ですか?」「中学校、高校時代までさかのぼって尊敬できる人がいたならば、その人たちとの共通項はありますか?」などと掘り下げていきます。

 

このように、自己分析は、転職活動をする上では、企業研究以上に大事なことです。自分を客観視できないと企業選びの軸も定まりませんし、自分に合う求人が見つけられません。

 

また、無事内定が出て入社された後、多かれ少なかれ想定しているものとのギャップは起こります。その際に、しっかりと自分の拠り所となる強い軸があれば、安易に環境のせいにせず、その新しい職場で踏ん張り、成果をあげる可能性は高まるでしょう。

 

ぜひ時間を割いて徹底的に自分を知ってください。幼少期から学生時代までの経験とそこで培われた価値観、今に活きている大事な価値観や想いの言語化にチャレンジしてみてください。

 

「転職の目的」「今回の転職で叶えたいこと」を明確にできれば、転職エージェントのキャリアコンサルタントからも自分にあった企業を紹介してもらいやすくなりますし、自身での企業探しや選考もスムーズになると思います。

 

 

東海林 浩樹

株式会社キャリア・エックス

CEO/コンサルタント