転職面接に合格する人としない人には、どんな違いがあるでしょうか? 株式会社キャリア・エックスのCEO兼コンサルタントの東海林浩樹氏が自身の経験から感じた、転職希望者の「合否を分けるポイント」を紹介します。※本記事は、株式会社キャリア・エックスの『転職コラム』から転載したものです。
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合否の分かれ目2.「志望動機の説得力」

面接の合否を左右する要因をもう1つ挙げると、「志望動機の説得力」です。

 

例えば、最近多い例として、異業種からIT・SaaS企業への転職を希望する方が「世の中を便利にしたい」「その会社のミッション、ビジョン、バリューに共感した」などと話されますが、それだけだと動機として非常に浅く、伸びている業界で業績の良い企業やネームバリューのある企業に行きたい=勝ち馬に乗りたいだけに聞こえてしまいます。

 

転職エージェントからもらった求人票の仕事内容をそのまま話していたり、企業ホームページの内容の上澄みをすくっただけの志望動機も同様です。そうではなく、実体験と結びついた志望動機や転職理由をぜひ話していただきたいと思います。

 

また、志望動機は、内容の「具体性」だけを求められているわけではありません。

 

ポイントは「根拠」です。志望動機の「根拠」があれば、より説得力が高まります。

 

「世の中がこうだから」「成長したいから、キャリアアップしたいから」など、誰でも言えるような内容では、何も言ってないのと同じです。


自分の原体験や根拠を示すことで、「その人らしさ」がでてきます、初めて意味を持ちます。さらに、何に基づいているか、その根拠や原体験が強いほど、説得力があります。

 

【根拠や原体験の例】
・現職の仕事経験の中で実感した課題感や限界感、日常的に感じているやりがいや興味
・仕事での成功体験や失敗体験など
・プライベートを含めた、周りの出来事や人間関係の変化
・さらには、家庭環境や生い立ち、学生時代の挫折経験、人生のターニングポイントなど

 

より深い自身の原体験や根拠と結びつけられると、説得力が高まります。

 

もちろん、会社によって、志望動機の求められるレベルは異なります。私が採用チームの責任者を担っていたリクルート社では、「1人ひとりの個人の強い物差し(問題意識・価値観のベクトル)が、新しい価値を創造する起点になる」と考えらており、志望動機の根拠を強く求めていました。


リクルートに限らず、ベンチャー企業やスタートアップなど、社員一個人が裁量をもち事業の起点となり、新しい事業やプロダクトを作り出していくボトムアップな環境では、より強い志望動機を求める傾向があるかと思います。

 

人生における進路選びや、就活での企業選びの軸。そして今回の転職の目的。

 

面接という限られた時間の中で、自分のコアとなる価値観や生き方に通ずる原体験や影響に与えた環境・出来事を、しっかりと伝えきることが非常に重要です。

 

また、これまでの成果とその要因を振り返ることをせずに「面接では何が聞かれますか?」ということばかり気にされる方がいらっしゃいますが、面接官の質問を予測し回答を考えることは、面接対策の本質ではありません。成果とその要因の振り返りを丁寧にしていただきたいと思います。

 

 

東海林 浩樹

株式会社キャリア・エックス

CEO/コンサルタント