中国が世界銀行に圧力を?「各国ビジネス環境ランキング」不正問題の裏事情

世界銀行による「ビジネス環境ランキング」において、中国が圧力をかけてランキングを上昇させたとの疑惑が浮上した。「国際機関発信の情報は中立的」との共通認識を揺るがす事態に各国は動揺。しかし、そもそも「中立的なデータ」とは何か。元財務省官僚で、膨大な経済データを収集・分析、予測を行ってきた筆者が考察する。

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世銀幹部、中国の圧力でランキングを不正に引き上げ?

世界銀行(世銀)が第3者に委託した調査報告書を発表。その中で、各国ビジネス環境ランキングで世銀幹部が中国の圧力を受け、そのランキングを不正に引き上げていたとされたことが関心を引いている。

 

中国以外でも同様の不正があったという。当時の幹部だった1人が国際通貨基金(IMF)の現トップということもあるが、国際機関が発信する情報は中立的で信用できると思われているだけに、ゆゆしき問題とされている。

 

決められた作業から出てきた結果を加盟国の圧力だけで操作した、あるいは特定国のランクを上げるために評価基準を恣意的に変更したとすれば、不正と言われても仕方がない(2018年ランキング報告草案では、中国のランキングは下がる結果となっていたため、担当者はこれを上げるため、台湾や香港のデータを入れることも含め、様々な方法を模索したなどとされている)。

 

中国外交部は9月17日の記者会見で、外国プレスの質問に答える形で、「中国はビジネス環境改善を非常に重視しており、その成果は衆目の一致するところ。世銀が事実に基づき、規則に準拠し、専門性、客観性、公正性、透明性の原則に則って、厳格に世銀の内部審査プロセスに依拠して、関連する問題の全面的調査を行うことを希望する」とだけ述べている。本問題から波及して考えるべきことが残っている。

 

(注・出所)2019年10月23日付新華社ワシントン電。同日に世銀が発表したビジネス環境ランキングで「中国は18年46位から31位へと大幅に上昇」と題し報道。中国は2年連続で大幅に改善したベスト10に入っているとし、企業立ち上げ、工事施行許可、電力獲得、少数投資家保護、納税、貿易、契約執行、破産処理の8分野の改革で突出した進展を見せているなどとしている。
中国は以前からランキング上昇を大きく宣伝 (注・出所)2019年10月23日付新華社ワシントン電。同日に世銀が発表したビジネス環境ランキングで「中国は18年46位から31位へと大幅に上昇」と題し報道。中国は2年連続で大幅に改善したベスト10に入っているとし、企業立ち上げ、工事施行許可、電力獲得、少数投資家保護、納税、貿易、契約執行、破産処理の8分野の改革で突出した進展を見せているなどとしている。

 

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1976年、大蔵省入省。1990年、アジア開発銀行理事代理、2000年、香港理工大学中国商業センター客員研究員。2003年、アジア開発銀行研究所総務部長、2006年以降、財務省神戸税関長、財務省財務総合政策研究所次長、財務省大臣官房政策評価審議官、2010年から大和総研常務理事等の要職を歴任。2015〜21年、香港の日本ウェルス(NWB)独立取締役。一橋大学卒。香港中文大学普通話課程修了。

著者紹介

連載世界銀行「ランキング不正問題」が示すもの

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