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支給限度額でサービスを組むケアマネの考え
■なぜ、「支給限度額いっぱい」がダメなのか
良心的なケアマネから〝困ったケアマネ〟と見られている人に「必要もないのに支給限度額ギリギリまでサービスを入れる」人がいます。
利用者・介護者からもサービス事業者からも、人間性や仕事ぶりが高く評価されているケアマネの田辺さん(40代・男性)はその問題点をこう語ります。
「ケアマネの基本姿勢は『利用者さんの支援のために必要最小限のサービスを提供する』こと。利用者負担は原則1割とはいえ、介護にはお金がかかります。不安なく介護をつづけるには、負担をできるだけ少なくする必要があるわけです。
また、社会的使命もあります。介護を支える財源は逼迫しており、無駄づかいしていたら介護保険制度は維持できません。だから、ケアプランにはみずからの知見を総動員し、必要最小限にして最大の効果が得られるサービスを盛りこもうとするのです。しかし、そんなことはいっさいお構いなしで、支給限度額いっぱいまでサービスを入れてしまうケアマネがいるわけです」
なぜ、この行為がダメなのでしょうか。
理解するには、介護保険制度の支給限度額や利用者負担といったお金の話を知っておく必要があるので、ここでできるだけわかりやすく説明します。
日本は国民皆保険の国です。国民全員が健康保険に加入し、保険料を支払っている。
それが財源としてあるから、義務教育の就学後から70歳までは3割負担、70歳から75歳までは2割負担、75歳以上は1割負担で(保険適用の)医療が受けられます。
また、介護保険は40歳から加入が義務づけられ、死亡するまで保険料を支払います。
そして要介護になったら、集められた保険料からサービス代が支給され、利用者は1割負担で済むわけです(所得によっては2割負担になるケースもあります)。