ケアマネは必要最小限のサービスに抑える
ただし、要介護度に応じて支給限度額が決められています。
1か月あたりの支給限度額を要介護度別に見ると、下の【表】のようになります。
要介護度に応じて、この程度の金額があれば、必要十分なサービスが受けられるということで設定されたのが支給限度額です。
要介護2を例にとると、支給限度額は19万7050円。この金額までのサービスなら1割負担で受けられるということです。利用者が負担する1万9705円を除いた9割、17万7345円が介護保険料から支給されます。ただし、これはあくまで上限額です。
では、介護サービスの料金はどのくらいかかるのか。たとえば、訪問介護のホームヘルパーが日中に30分から1時間、オムツ交換などの身体介護のサービスをした場合、介護給付費が395単位。1単位は約10円ですから3950円ということになります。
なお、介護業界が「円」ではなく「単位」を使うのは、地域によって物価が異なり、その補正が必要なことや、早朝や深夜などの訪問時間帯、人数などによって加算が必要になり、金額として表せないためです。
しかし、単位で説明すると理解しにくくなるので、ここではわかりやすく金額で3950円。ヘルパーが1時間程度、身体介護をしてくれると約4000円かかるわけです(自己負担額は400円)。このサービスを平日の月曜から金曜まで入れると2万円、ひと月で8万円から9万円かかります。
また、介護者に仕事があって日中のケアができない場合は、通所介護のデイサービスを利用することになります。要介護2の人がデイサービスを7時間から8時間利用すると7650円(自己負担額は765円)。平日すべての利用でひと月16万円前後、支給限度額にはなんとか収まります。
しかし、ケアマネは基本的に支給限度額を考えてケアプランを考えることはしません。必要最小限のサービスに抑えようとするわけです。ケアマネの田辺さんが語るように、サービスを増やせば1割負担とはいえ、利用者の出費が多くなってしまいますし、逼迫する財源のことを考えれば、無駄づかいできないという意識も働きます。
また、利用者の心身に変化が生じれば、新たなサービスを加えることもあるわけで、枠に余裕を残しておく必要があるからです。