(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

WTIは年初来76%上昇

■原油先物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)相場は25日、一時7年ぶりの高値を付け、1バレル83.76ドルで取引を終えました。年初来の上昇率は76%となりました。

 

■原油高の背景には需給ひっ迫懸念が強まっていることがあります。新型コロナウイルス禍からの世界的な経済回復で需要が増える一方、現時点で石油輸出国機構(OPEC)加盟国などでつくるOPECプラスは産出量拡大に消極的な姿勢を示しています。また、国際エネルギー機関(IEA)によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国の8月時点の石油在庫は過去5年平均を大幅に下回っています。

 

(注)データは2000年1月~2021年10月。2021年10月は25日。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
原油価格の推移 (注)データは2000年1月~2021年10月。2021年10月は25日。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

石炭、天然ガスの高騰が後押し

■さらに、今年の春以降、石炭や天然ガスの価格が高騰したため、代替としての原油の需要が増えるとの観測が原油価格を押し上げています。20年以降の価格推移をみると、天然ガスや石炭価格の上昇率は原油価格を大きく上回っています。

 

■こうしたエネルギー価格の高騰は、最近の脱炭素の動きの加速も背景となっている可能性があります。世界的な再生エネルギーへのシフトから、供給サイドは化石燃料の新規開発を抑制しています。

 

(注1)データは2020年1月1日~2021年10月25日。 (注2)原油はWTI、石炭は豪ニューキャッスル港出し価格、天然ガスは米ヘンリーハブ天然ガス価格。2020年1月1日=100。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
原油、石炭、天然ガス価格の推移 (注1)データは2020年1月1日~2021年10月25日。
(注2)原油はWTI、石炭は豪ニューキャッスル港出し価格、天然ガスは米ヘンリーハブ天然ガス価格。2020年1月1日=100。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

エネルギー価格は当面高止まりする可能性

■脱炭素へのシフトは各国の政策によるため、供給不足がなかなか解消されず、エネルギー価格が当面高止まりする可能性があります。エネルギー価格の上昇などからインフレが想定以上に長引くと、コロナ禍からの経済活動正常化に水を差す恐れがあり、今後の動向が注目されます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格が7年ぶりの高値に上昇』を参照)。

 

(2021年10月27日)

 

関連マーケットレポート

2021年8月24日 原油価格はデルタ型拡大、金融緩和縮小観測から下落

2021年8月19日 『IPCC』の地球温暖化のシナリオ、脱炭素は必達

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧