ドル円レートは18年10月以来の114円台
金融政策の正常化を踏まえた動き
■ドル円レートは円安が進み、10月20日現在で1ドル=114円台と2018年10月以来のドル高・円安水準となりました。ドル高・円安の背景として、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和の縮小開始と政策金利についてタカ派的な見方が示され、金融政策の正常化への流れがはっきりしたことが挙げられます。
■加えて、商品市場でWTI原油先物価格が上昇し、インフレ懸念が鮮明となったことも要因です。WTI原油先物価格の上昇は、世界景気の回復に伴い、需要がさらに増大するとの期待が背景にありそうです。
米国5年国債利回りとの連動強まる
ドル円レートは5年国債利回りの上昇を反映
■ドル円レートは、米国の利上げの軌道を反映するとされる5年国債利回りとの連動性が強まっています。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが緩やかに進むとの見通しを反映していると考えられます。短期的には11月のFOMCの内容やFRBメンバーの発言がさらにタカ派的となるかなどが注目されますが、ドル円レートはしばらくは5年国債利回りとの連動が続きそうです。
日本株にとって資源価格の上昇はマイナスだが、ドル高・円安はプラス
■日本企業の業績にとって、原油価格等に代表される資源価格の上昇は、生産コストを増加させるマイナス要因です。一方、ドル高・円安は、輸出型企業にとっては価格競争力の向上を通じ、業績へプラスに作用します。現在の円安水準が継続することで、年度下期以降の業績の上振れが期待できることから、日本株式市場には追い風になると期待されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『円安の背景と日本株への影響』を参照)。
(2021年10月22日)
関連マーケットレポート
2021年10月15日 資源高、金利上昇局面ではバリュー株が好調
2021年9月24日 FRBはFOMCで近いうちのテーパリング開始を示唆