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「老後の備え」「退職金」「年金」が軒並み減少
本記事では、20年後以降の長期的な視野での問題についてみてみる。就職氷河期世代をはじめとする下の世代の老後への備えは、上の世代と比べて明らかに脆弱であり、現時点の老後に備えての貯蓄も十分ではないとみられる。
今後を見据えても状況の好転は見込みにくい。例えば、正規雇用者を中心とする定年退職による退職給付については、厚生労働省「就労条件総合調査」などによると、給付額は1990年代後半には3000万円前後あったが、それをピークに足許では2000万円前後まで減り続けている。
それだけでなく、給付制度がある企業数もかつてと比べて減少している。世界的な競争の激化などを背景に、企業を取り巻く経営環境が厳しくなっていることを踏まえれば、この先、退職金が上の世代と比べて大幅に増えることは考えにくい。
また、厚生年金についても上の世代と比べて減額が見込まれる。例えば、妻が専業主婦である世帯を想定したやや古いデータになるが、平均年収480万円世帯における90歳までの年金総支給額(物価動向を考慮した現在価値に換算)は、団塊ジュニア世代がバブル世代より▲200万円、新人類(後期)より▲400万円強、新人類(前期)より▲700万円強も少ないと試算されている。
また、ポスト団塊ジュニア世代(前期)では、バブル世代より▲400万円弱、新人類(後期)より▲600万円、新人類(前期)より▲900万円少ないと試算されている(ダイヤモンド社 ザイ・オンライン、2015年3月13日「平均年収750万円以上の人がはまる罠!『年収が多い人ほど年金が多い』はウソ」)。
一方で、非正規雇用においては、退職金が支給されない、厚生年金も正社員と比べて少額というケースが多い。
このような状況が懸念される就職氷河期世代の老後を支える家族は一体誰になるだろうか。