人口減少で「支える世代も少ない」現実
高齢の就職氷河期世代を支えることに関して、よりマクロの視点からみてみよう。就職氷河期世代を支える足許の現役世代の人口は少なく、将来世代も人口ボリュームがますます細っていく。この点から考えても問題はより深刻である。
現役世代が高齢者や年少者をどの程度支えているかを比率で表す従属人口指数は、40%強だった1990年代前半以降上昇が続き、足許は70%弱まで高まっている([図表2])。
つまり、かつては、10人の現役世代が4人の子ども・高齢者を支えていたが、それがいまは、10人の現役世代で7人の子ども・高齢者を支えなければならない状況に変わったということだ。
そして、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」などを基に先行きを見通すと、就職氷河期世代の年長者である団塊ジュニア世代の、65歳の老齢人口入りが迫る2030年代半ば頃から、従属人口指数は上昇ペースが加速し、2050年代にかけてピークを迎えると見込まれている。
こうした状況下、就職氷河期世代は将来の備えが脆弱なため、自身が老後を迎えた際には経済的に立ち行かなくなり、高齢貧困に陥る恐れがある。先述した親の介護による負担増が加われば、その可能性はさらに高まることになる。
そして、就職氷河期世代の貧困問題は、生活保護の増加などを通じて、わが国の社会保障や財政の面にも大きな影響を与えかねないのだ。
下田 裕介
株式会社日本総合研究所 調査部 主任研究員