(写真はイメージです/PIXTA)

相続開始前3年以内に贈与を受けた財産は、相続税が課税されることをご存じですか? 本記事では、意外と知らない方も多い「生前贈与加算」について、会計事務所Lirio代表で税理士の野口裕太氏が解説します。

贈与税を納付している場合の相続税額の計算

相続開始前3年以内に受けた贈与については、贈与はなかったものとして相続財産に含めて相続税が課税されることはわかりました。それでは、既に贈与税を納付している場合はどうなるのでしょうか?

 

結論から申し上げますと、支払った贈与税がある場合には「贈与税額控除」として相続税から控除されますのでご安心下さい。では、具体的な計算例を見ていきましょう。

 

お父さんと息子の2人家族で、お父さんの遺産は5,000万円。相続開始前3年以内の贈与財産は600万円だったというケースで計算してみます。

 

■相続税額の計算

・相続財産の総額  5,000万円+600万円=5,600万円

・基礎控除額    3,000万円+600万円×1人=3,600万円

・課税遺産総額   5,600万円-3,600万円=2,000万円

・相続税額     2,000万円×15%-50万円=250万円

 

贈与税額控除

 

控除する贈与税額は、生前贈与加算の対象となった財産に対応する税額であり、控除出来る金額に上限はありませんが、加算税・延滞税・利子税の金額は含まれないことに注意が必要です。

 

先ほどの相続税額で確認してみましょう。

 

■贈与税額控除の計算方法

・相続税額   250万円

・贈与税額   27万円

・納付税額   250万円-27万円=223万円

 

なお、相続税額から控除しきれない贈与税額については、切り捨てとなります。還付を受けることは出来ませんので注意が必要です。

 

節税対策として生前贈与を検討されている場合には、生前贈与加算についてもしっかりと把握しておきましょう。

 

生前贈与を利用した相続対策には、他にも注意すべき点などありますので、もしも生前贈与でお悩みの際には、専門の税理士に相談することをおすすめします。

 

 

野口 裕太

会計事務所Lirio

公認会計士/税理士/行政書士

 

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