(写真はイメージです/PIXTA)

贈与により取得した財産の価額が基礎控除額を超える場合には、贈与税がかかります。しかし、どのような行為が贈与税の課税対象となるのか正しく把握しておかないと、基礎控除額の範囲内か否かの判断も出来ません。本記事では、贈与税の課税対象となる贈与財産の範囲について、会計事務所Lirio代表で税理士の野口裕太氏が解説します。

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あげる側ともらう側の「意思の一致」が「贈与」

(本来の)贈与とは

 

「(本来の)贈与」とは、贈与者(あげる側)の「あげます」という意思表示に対し、受贈者(もらう側)が「もらいます」という意思表示をすることで成立する一種の契約です。

 

贈与者と受贈者、双方の合意が必要とされる点がポイントです。

 

いわゆる「名義預金」が贈与に該当しないのは、この双方の合意が認められないためです。

 

贈与者から無償で譲り受けた財産で、金銭的な価値のあるものは、全て贈与税の課税対象となります。

 

具体例を見ていきましょう。

 

【金融資産】
現金/預貯金/有価証券(株式、出資金、公社債、投資信託など)

【不動産等】
建物/土地(宅地、農地、山林など)/借地権・地上権など

【動産】
自動車/船舶/宝石・貴金属/書画骨董/家庭用財産など

【その他】
ゴルフ会員権/リゾート会員権/特許権/著作権など

知らないじゃすまされない…「みなし贈与」を徹底解説

みなし贈与とは、その名の通り「贈与とみなされる行為」のことであり、贈与税の課税対象となります。

 

無償による財産の譲渡に該当しなくても、低額での譲渡や債務免除など「相手に利益を与える行為」は、実質的には贈与と変わらないと考えられるためです。

 

しかしながら、「(本来の)贈与」は、贈与者と受贈者の双方の合意が必要とされるのに対し、「みなし贈与」は、双方の合意が不要であり、当事者において贈与を行ったという認識がないことも多いのが実状です。

 

そのため、みなし贈与に該当することを知らず贈与税の支払いを怠ってしまった結果、税務調査で指摘されて多くの税金を払わされるというケースも散見されます。

 

では、どのような場合にみなし贈与に該当するのか、具体的な例をみていきましょう。

 

満期保険金(保険料を負担していない者が受け取る場合)

 

保険の契約者(保険料を支払う人)と、保険金の受取人が異なる場合、満期保険金や解約返戻金はみなし贈与とされます[図表1]。

 

[図表1]満期保険金や解約返戻金がみなし贈になる例
[図表1]満期保険金や解約返戻金がみなし贈になる例

 

例えば、親が生命保険の契約者、子が保険金受取人という一般的なケースにおいて、満期保険金や解約返戻金が子に支払われた場合には、みなし贈与とされます。

 

また、保険契約の名義を変更した結果、保険料の負担者と保険金の受取人が異なることとなった場合も同様で、満期保険金の受取時にみなし贈与とされ課税対象となります。

 

なお、支払われた保険金が死亡保険金の場合には、「みなし相続」として、相続税の課税対象となりますのでご注意下さい。

 

低額譲渡(著しく低い価格での売買)

 

「著しく低い価格での売買」もみなし贈与とされる可能性があります。

 

例えば、親が子に時価3,000万円の不動産を1,500万円で売却した場合には、時価と売却価格の差額1,500万円(=3,000万-1,500万円)に対して贈与税が課税されます[図表2]。

 

[図表2]定額譲渡の例
[図表2]定額譲渡の例

 

なお、「著しく低い価格」については、相続税法等で明確な基準は設けられていませんが、過去の裁判例に基づけば「時価の80%未満」が一つの目安とされています。

 

また、低額譲渡については、土地を譲渡した側でも「みなし譲渡課税(所得税)」がなされるため注意が必要です。

 

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