2021年8月のバイオ医薬品市場 (※写真はイメージです/PIXTA)

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社マーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

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バイオ医薬品関連企業の株価動向

8月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。

 

バイオ医薬品株式市場における大型株と中小型株のパフォーマンスの二極化現象は、ファイザー(米国)によるトリリウム・セラピューティクス(米国)の買収発表後、月後半に入って解消しました。下期はM&A(合併・買収)活発化も期待されます。またバイオ医薬品株式市場には、売られた銘柄に押し目買いの資金が流入しています。

 

新型コロナウイルスのデルタ変異株の世界的な感染拡大はピークを付けたように思われますが、米食品医薬品局(FDA)のワクチン審査部門では、幹部の医学博士2名の辞任発表後、後任が決まらない状況にあり、未成年者に対するワクチン接種の承認を巡る議論が続いています。

 

株価が大きく上昇した銘柄としては、ノババックス(米国)、トリリウム・セラピューティクス(米国)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(米国)等が挙げられます。新型コロナウイルス・ワクチンを開発中のノババックスは、世界の複数の市場で当局による新型コロナウイルス・ワクチンの承認の見通しが高まったことから、株価が大きく上昇しました。トリリウム・セラピューティクスは、ファイザーによる買収が好感され、株価が上昇しました。リジェネロン・ファーマシューティカルズは、決算が好調だったことなどが好感され、大きく株価が上昇しました。

 

株価が大きく下落した銘柄としては、キニクサ・ファーマシューティカルズ(バミューダ)やTGセラピューティクス(米国)などが挙げられます。

 

キニクサ・ファーマシューティカルズは、再発性心膜炎治療薬の発売後、事前予想を上回る売上を記録したものの、同社への期待が大きすぎたこともあり、株価は下落しました。TGセラピューティクスは、2025年までの長期予想の発表が市場を困惑させる結果となり、株価が下落しました。

 

(ナスダック・バイオテック指数)の推移 ※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値 ※PSR:2021年1月末時点のナスダック・バ イオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]バイオ医薬品株価指数 (ナスダック・バイオテック指数)の推移
※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値
※PSR:2021年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

米ドルベース、月次、期間:2011年8月~2021年8月 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧 問株式会社作成
[図表2]ナスダック・バイオテック指数 米ドルベース、月次、期間:2011年8月~2021年8月
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、現在、ブースター接種について大きな議論がなされるなどしており、短期的には引き続き新型コロナウイルスの感染動向を注視する必要があると考えます。米FDAはリーダー不在で、身動きの取れない状態が続いています。一方、大手医薬品会社や大手のバイオ医薬品企業は2025年から始まる大きな特許の崖に直面しており、下半期からM&Aのペースが上がることが予想されます。

 

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。

 

※学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。 出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表3]今後のバイオ関連学会予定 ※学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

年次、期間:2002年~2021年(2021年は8月末時点) 出所:FDAのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表4]米食品医薬品局(FDA)による新薬承認件数 年次、期間:2002年~2021年(2021年は8月末時点)
出所:FDAのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬 ※ライセンス供与された治療薬も含みます 出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表5]注目のパイプライン ※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬
※ライセンス供与された治療薬も含みます
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。

 

※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI 新興国株価指数構成銘柄 ※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表6]売上高の推移米ドルベース、期間:2001年12月~2020年12月
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄
※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR〔株価売上高倍率〕から算出)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。

 

時点:2021年9月16日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの 構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表7]今後2年間の売上高伸び率(年率)予想 時点:2021年9月16日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)

 

期間:2006年12月~2020年12月(実績)、2021~23年(予想) ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数※一株あたり売上高 は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出※2021年~2023年の一 株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均出所:ブルーム バーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表8]バイオ医薬品関連企業の売上高と株価の推移 期間:2006年12月~2020年12月(実績)、2021~23年(予想)
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数
※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出
※2021年~2023年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

バリュエーション

新薬の開発動向が順調に推移していることやバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。

 

米ドルベース、月次、期間:2005年8月~2021年8月 ※PSR:株価売上高倍率。2021年1月末時点のナスダック・バイオテック指数 構成銘柄を基に算出出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使 用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表9]ナスダック・バイオテック指数とPSRの推移 米ドルベース、月次、期間:2005年8月~2021年8月
※PSR:株価売上高倍率。2021年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年8月のバイオ医薬品市場』を参照)。

 

(2021年9月24日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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