高齢化で定年年齢が引き上げられたこと、構造改革で人材の流動化が促進されたことなどを背景に、転職者の平均年齢はあがっているものの、35歳を超えたミドル世代では転職の難易度は一気に上がります。そのようななか、ミドル世代が転職を成功させるためにはどうすればいいのでしょうか。「絶対にやるべきではない」NG行動から、成功のポイントを探っていきます。※本連載は、黒田真行氏の著書『35歳からの後悔しない転職ノート』を一部抜粋・再編集したものです。
35歳以上の転職希望者が「絶対にやるべきではない」NG行動 (※写真はイメージです/PIXTA)

「退職してからの転職活動」はしてはいけない

35歳からの転職は厳しいものになる可能性が高いだけに、まず留意しておいてほしいことがあります。それは、とりわけ初めての転職であればなおさら、在職しながら転職活動をしてほしい、ということです。

 

仕事をしながらでは忙しいので、会社を辞めてから転職活動を始めたほうがいいのではないか、と考え、まずは会社を辞めてしまう人がいます。しかし、これは危ない。特に、先が見通せない時期、不況が予想される時期は避けることが鉄則です

 

実際に新型コロナウイルス騒動のさなかは、企業の採用の多くがストップしてしまいました。また、給与をそれなりにもらっていると自覚しているなど、比較的好待遇の状況にあるのであれば、特に注意をしなければいけません。

 

なぜなら、それが当たり前の条件になっていたり、何らかのバイアスを強く受けてしまっていることが少なくないからです。「なかなか転職先が決まらない」という厳しい状況を、社内にいて給料をもらいながら体感していない人は、大きなリスクにさらされる可能性があります

 

[図表2]転職活動の実態

 

いきなり会社を辞めてしまい、収入がストップしてしまったなかで、次の行き先が決まらないと、精神的に追い詰められてしまうことは言うまでもありません。余裕を持った転職活動ができなくなってしまいます。だから、退職してからの転職活動はおすすめしないのです。

 

そして、自分の思い込みで会社や職種を絞り込んでしまわないことできるだけゼロリセットで考えてみる。実際には、直接の経験がなくても、自分の持っているポータブルスキルが活かせる可能性もある。その移動幅が少ないところは、選択肢になりえます。だから、まずは手を挙げてみることです。

 

「興味があります」「応募します」とアクションを起こしてみる。応募したからといって、ほぼ落ちてしまうのが現実です。先にも書いたように、公開されていない事実上の年齢制限に引っかかってしまうことも少なくないからです。

 

それこそ、それほど関心のない会社に応募してもいい。もしラッキーにも書類選考に通過すれば、次のステップを経験することができます。会社を見にいくこともできるし、面接も体験できる。実際に話を聞くことができる。転職活動の経験ができるのです。

 

まずは、最初からいきなり採用されるなどと考えず、このくらいから始めてくださいと私はアドバイスしています。仮に内定が出てしまったところで、断ることもできます。応募したら行かなければいけないわけではないのです。ところが、応募するとほぼ受かると考えてしまう人が多い。とんでもない考え違いだと知る必要があります。まずは、応募してみることです。