iDeCo(イデコ)の「最低投資金額」と、職業(会社員や個人事業主など)の違いによる毎月の掛金の「上限」や「平均額」について、証券会社出身のSGO編集者が初心者にもわかりやすく解説します。
iDeCoの掛金、いくらから上限いくらまで拠出できる?【初心者必見】 (※写真はイメージです/PIXTA)

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iDeCoの掛金(毎月の積立額)をいくらに設定するかは、月々の生活費にも関わる問題なので、悩む人も多いのではないでしょうか。iDeCoで積み立てた資金は原則として60歳まで引き出すことができないため、なおさらです。

 

そこでこの記事では、「イデコはいくらから始められるの?」「職業によって掛金の上限は違うの?」「みんな毎月平均いくら積み立てているの?」など、「掛金」に関する疑問に答えていきます。

 

iDeCoを始めるにあたり、自分が掛金をいくらまで拠出できるのか知りたい人、いくらに設定しようか悩んでいて目安を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

1. iDeCo(イデコ)の概要

イデコとは
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」といい、20~60歳まで(2022年5月からは65歳まで)の間に毎月決まった額を積み立てて運用し、その成果を60歳以降に受け取る「私的年金制度」です。「拠出時」「運用中」「受給時」の3つの場面で税制優遇を受けられ、老後資金作りの手段の一つとして、加入者が増加しています。

 

しかし、iDeCoにはデメリット(注意点)もあるので、始める前によく把握しておきましょう。詳しくは、『iDeCo(イデコ)のデメリット5つと解決策…メリットと合わせて解説』で説明してるので、参考にしてください。

 

2. iDeCoは「月5,000円」から始められる

iDeCoの毎月の最低投資金額は5,000円以上と決められています(1,000円単位)。この金額は、SBI証券楽天証券を含む、どこの金融機関でも同じです。

 

なお、iDeCoと比べられることが多いつみたてNISAの場合は、証券会社によっては月100円から始められる金融機関もあります。

 

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3. iDeCo掛金の上限は職業によって異なる

iDeCoの掛金の下限は5,000円と決められていますが、掛金の上限は職業によって異なります。

 

【職業の違いによるiDeCo掛金の上限】

●自営業:68,000円
●会社員(企業年金なし):月23,000円
●会社員(企業型確定拠出年金のみ):月20,000円
●会社員(確定給付企業年金※1や企業型確定拠出年金※2に加入):月12,000円※3
●公務員:月12,000円
●専業主婦(専業主夫):月23,000円

 

※1:将来の給付額が確定している年金のこと

※2:企業が掛金を毎月拠出し、従業員が自分で運用する年金のこと

※3:2024年12月より、月20,000円に引き上げ

 

詳しく解説していきます。

 

3.1. 自営業や個人事業主のiDeCo掛金の上限は「68,000円」

自営業をはじめとした個人事業主の場合は国民年金しか受給できず、不足分は自分で老後資金を用意する必要があります。そのため、iDeCoの掛金の上限は他のどの職業よりも多い68,000円となっています。

 

3.2. 会社員のiDeCo掛金の上限は、「23,000円(企業年金なし)」と「12,000円(企業年金あり)」に大きく分かれる

会社員のiDeCo掛金の上限は少し複雑です。具体的には、勤め先に企業年金(確定給付企業年金や企業型確定拠出年金)がない場合は23,000円です。

 

そして、勤め先に企業型確定拠出年金(企業型DC)がある場合は20,000円です。

 

また、勤め先に企業年金があり、①確定給付企業年金(DB)のみあって加入している場合や、②確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の両方あって加入している場合、iDeCo掛金の上限は12,000円です。

 

このように、企業年金がある場合は、会社が従業員のために毎月拠出する分があるため、公平性の観点から、企業年金がない場合と比べて掛金の上限は低くなります。

 

自分の会社が企業年金を導入しているかどうかわからない場合は、総務課などでご確認ください。

 

3.3. 公務員のiDeCo掛金の上限は「12,000円」

公務員のiDeCo掛金の上限も、確定給付企業年金(DB)に加入している会社員と同様、12,000円です。

 

3.4. 専業主婦のiDeCo掛金上限は「23,000円」

専業主婦(専業主夫)のiDeCo掛金の上限は、企業年金がない会社員と同様、23,000円です。

 

■自分のiDeCo掛金の限度額がわかるツール

 

企業年金の「あり・なし」を選んで、iDeCoの掛金の限度額を教えてくれるツールに、ろうきんの「iDeCoシミュレーター」があります。条件を入力するだけでいくら節税できるかもわかり、便利でおすすめです。

 

4. iDeCo掛金の平均額は?

イデコ掛金の平均額
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

職業の違いによるiDeCo掛金の上限がわかったところで、他の人が毎月どれくらい積み立てているのか気になる人もいるでしょう。そこで、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会の資料から、職業別のiDeCo掛金の平均額を見てみましょう(2021年7月時点)。

 

【職業別のiDeCo掛金の平均額】

●自営業者:月28,116円
●会社員(企業年金なし):月16,452円
●会社員(企業年金あり):月10,838円
●公務員:月10,970円
●専業主婦(専業主夫):月15,125円

iDeCo掛金の全体平均額:月15,855円

 

自営業者などの第1号被保険者のiDeCo掛金の平均額は、上限68,000円に対して約28,000円となっており、目一杯まで積み立てていないことがわかります。

 

また、企業年金がない会社員のiDeCo掛金の平均額は、上限23,000円に対して約16,000円となっており、上限に対して約70%の枠しか使っていません。公務員の平均額は、上限12,000円に対して約11,000円。

 

第3号被保険者である専業主婦(専業主夫)の平均額は、上限23,000円の約65%の15,000円。

 

そして、職業に関係なくiDeCo掛金の全体平均額は、月15,855円となっています。

 

ただし、これらの数字はあくまでも平均値で、必ずこの金額を拠出しなければいけないわけではありません。大切なのは、月5,000円からでもいいので、まずはやってみることです。始めてみて、所得税や住民税やいくら節税できて、元手がいくら増減したかを実感することが大事です。

 

そうすれば、このペースだと年間いくら貯まり、老後までいくら足りないから、iDeCoの掛金を増やしたり、つみたてNISAも始めたりといった選択肢も考えられるようになります。なお、どこの金融機関で何の商品を買えばいいのかわからない方は、次の記事で解説しているので参考にしてください。

 

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5. iDeCoの掛金が払えない場合は「金額変更」で対応

イデコ金額変更
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

iDeCoの掛金の変更はなるべく避けたいものですが、転職して給料が減ったり、子どもが生まれて生活費に余裕がなくなったりと、やむを得ない事情も出てくるはずです。そのような場合は、掛金の「金額変更」や「拠出の一時停止」で対応しましょう。

 

やり方は簡単で、iDeCo口座を持っている金融機関に「加入者掛金額変更届」を提出すれば、年に1回まで変更可能です。しかし、掛金の拠出を停止した期間は、iDeCoのメリットの1つである「掛金の全額控除」は受けられなくなります。そのため、掛金を下限の5,000円まで減額して、拠出はなるべく続けることをおすすめします。

 

6. iDeCoは「月払い」「年払い」どちらにすべきか?

イデコ月払い年払い
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

iDeCoの掛金の支払い方法はこれまで「月払い」のみでしたが、2018年1月から「年払い」が加わり、どちらかを選べるようになりました。従来の月払いは、ドルコスト平均法で毎月一定金額をコツコツ買っていく方法です。

 

一方、年払いは、あらかじめ指定した月の掛金を増やすことができる方法です。たとえば、会社員の場合、毎月1万円を拠出してボーナス月の6月と12月のみ5万円を拠出したり、毎月は拠出せずにボーナス月の6月と12月のみ10万円を拠出したりすることが可能になります。年払いにすることで、拠出するたびにかかる105円の手数料を節約できます。

 

ただし、年払いにするには、iDeCo口座を持っている金融機関に「加入者月別掛金額登録・変更届」を事前に提出する必要があり、来月分の掛金を今月変更できるわけではないので注意しましょう。

 

さらに、年払いの場合は年間に買い付ける回数が少なかったり、ある月に多めの金額を買ったりするので、月払いで毎月一定金額をコツコツ買う方法と比べて、平均購入価格が高くなる可能性があります。

 

そのため、iDeCoの支払いは、ドルコスト平均法で価格が高くても安くても同じ金額を淡々と買っていく「月払い」のほうが平均購入価格を平準化できる可能性が高く、値上がりしたときに大きな利益になる確率が高くなります。

 

まとめ

イデコいくらから?まとめ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この記事では、iDeCoの掛金の下限と上限、そして平均額を中心に解説しました。

 

iDeCoは難しい知識が必要なく、投資初心者でも手間なく着実に資産を積み上げることが可能な制度です。月5,000円からでもいいのでiDeCoを始めて、資産形成への第一歩を踏み出しましょう。

 

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