離婚が認められる「夫婦の義務」の不履行とは
結婚生活における3つの義務
結婚生活における3つの義務離婚理由の2つめは「悪意の遺棄」です。民法では結婚にともなう次の3つの義務を定めており、これを故意におこたることを法的に悪意の遺棄といいます。
同居義務:夫婦がいっしょに住む義務。
扶助義務:生活費を出し合ってお互いが同レベルの生活が送れるようにする義務。やむを得ない理由で片方が無収入なら、もう片方が助けなければなりません。
協力義務:力を合わせて暮らしを維持する義務。
ただ、単にこれらの義務をおこたっただけでは、「悪意の遺棄」と認められません。「悪意」とされるのは、「これで夫婦の暮らしを破たんさせてやろう」と、相手が困ることがわかったうえでやっているか、そこまで意識していなくても、「これで結婚生活が破たんしてもかまわない」と考えているケースです。
また、「遺棄」とは、夫婦の義務をおこたった状態を知りつつも放っておく状態をさしています。
義務違反の証拠になるもの
1の同居義務違反の証拠としては、相手だけが引っ越したことを示す住民票、別居先の住まいの賃貸契約書が証拠になります。実家に戻っているケースだとそのような公文書がありませんが、別居した日時や経緯を記したメモが、ある程度は証拠能力をもちます。
2の扶助義務違反では、生活費が渡されていない場合は、源泉徴収票や預金通帳が証拠となります。収入の大半を趣味やギャンブルにつぎ込んでいるなら、購入した現物やレシート、クレジットカードの明細書などが証拠となります。
3の協力義務違反の証拠はむずかしいですが、たとえば「家事・育児を放棄している」という場合は、そのことで家庭生活が成り立っていない様子を定期的に映像や写真に撮っておけば、証拠になるでしょう。
妻が専業主婦の場合でも、夫に家事や育児の義務がないわけではありません。これらを放棄している場合も協力義務違反にあたることがあります。
3年以上生死がわからないときは離婚が認められる
生死不明が認められる条件
配偶者と音信不通になってから3年が過ぎ、生死もわからないときには、離婚を求めて裁判を起こすことができます。最後に相手といつコンタクトしたかを証明するためには、消印つきの手紙や電話の通話履歴、メールの履歴が有効です。
また、相手を探す努力をしたことを示すために、警察に捜索願いを出したことがわかる受理証明書が必要になります。また、親戚や知人、仕事の関係者などに「〇年以降に連絡はなく、見かけてもいない」という陳述書を書いてもらう必要があります。
逆にいうと、このときに「連絡を受けた」「本人と思われる人を見た」という証言があると、生存の可能性があるとみなされ、離婚理由として認められません。
行方がわからなくても相手から電話や手紙などがあり、生きていることが明らかな場合は「生死不明」という離婚理由にはあたりません。「行方不明」の扱いとなり、この状況で離婚をするには「悪意の遺棄」か「婚姻を継続しがたい重大な理由」として裁判を起こすことが必要です。
なお、裁判で離婚が認められたあとで相手の生存がわかっても、離婚が取り消されることはありません。
失踪宣告という方法もある
生死が7年以上わからないときは、裁判という手段をとらずに、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行うことで婚姻関係を解消する方法もあります。
家庭裁判所で失踪宣告の審判を受けると、法律上、生死不明者は死亡と判断されます。つまり、死別したものとして遺産の相続もできるようになり、再婚も認められます。
ただし、あとになって本人の生存がわかった場合、失踪宣言は取り消されて婚姻関係は復活することになります。もし、失踪宣言を受けて再婚していたら、再婚が収り消される可性があるので、裁判での離婚を目指すほうが一般的といえるでしょう。
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