毎年9月に大きく動き出す「米ドル/円」…2021年の展開は?【国際金融アナリストが解説】

9/14~9/20の「FX投資戦略ポイント」

毎年9月に大きく動き出す「米ドル/円」…2021年の展開は?【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

米8月雇用統計の結果が発表され、非農業部門雇用者数(NFP)が「ネガティブ・サプライズ」となったことから、テーパリング観測が後退し、米ドルは全面安となっています。今回は、FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、米ドルの今後の展開について考察していきます。

「米ドル/円」の新たな方向のカギは…

米ドル/円は7月前半からすでに2ヵ月も、109~110.5円を中心とした狭いレンジで方向感のない小動きが続きました。基本的に、小動きが長く続くほど、相場のエネルギーが溜まり、小動きの終わりとともに、溜まったエネルギーの発散により一方向に大きく動く可能性が高まります。

 

では、米ドル/円は小動きのレンジを米ドル高、米ドル安のどちらの方向に抜けていくことになるでしょうか。それを考える上での手掛かりの一つは米金利でしょう。2ヵ月続いた米ドル円の小動きは、日米金利差とほぼ重なる推移でした(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円と日米金利差(2021年7月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

「いつものこと」となったレーバーデイにかけての米ドル/円の小動きは、今回の場合、日米金利差の主役である米金利に方向感のない小動きが続いたことで正当化されたともいえそうです(図表5参照)。以上からすると、米ドル/円の新たな方向のカギは、米金利が上がるか、下がるか、どちらに方向性が出てくるかが手掛かりになるでしょう。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表5]米10年債利回りの推移(2021年3月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

そしてもうひとつ注目されるのは株価の動きです。米国株、たとえばNYダウは、レーバーデイをはさみ5営業日続落となりました(図表6参照)。これには、レーバーデイ明けで実質的な夏休み明けからトレードを本格再開したトレーダーが、まずはショート戦略を試している影響が考えられます。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表6]NYダウの推移(2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

ちなみに昨年は、レーバーデイを挟み、NYダウは最大1割の下落となりました。昨年のレーバーデイ明けから米ドル/円が一段安に向かったのは、そんな米国株の下落に連れた面が大きかったでしょう。

 

さて、約2ヵ月続いた小動きから、米ドル/円が109~110.5円のレンジをどちらに抜けていくのか。以上見てきたことからすると、予め米ドル高、米ドル安といった方向感を決めるより、米金利や米国株の動きを見ながら、レンジを抜けた方向にしっかり付いていくといった考え方が基本になります。

 

 

吉田恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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