「米ドル/円」の新たな方向のカギは…
米ドル/円は7月前半からすでに2ヵ月も、109~110.5円を中心とした狭いレンジで方向感のない小動きが続きました。基本的に、小動きが長く続くほど、相場のエネルギーが溜まり、小動きの終わりとともに、溜まったエネルギーの発散により一方向に大きく動く可能性が高まります。
では、米ドル/円は小動きのレンジを米ドル高、米ドル安のどちらの方向に抜けていくことになるでしょうか。それを考える上での手掛かりの一つは米金利でしょう。2ヵ月続いた米ドル円の小動きは、日米金利差とほぼ重なる推移でした(図表4参照)。
「いつものこと」となったレーバーデイにかけての米ドル/円の小動きは、今回の場合、日米金利差の主役である米金利に方向感のない小動きが続いたことで正当化されたともいえそうです(図表5参照)。以上からすると、米ドル/円の新たな方向のカギは、米金利が上がるか、下がるか、どちらに方向性が出てくるかが手掛かりになるでしょう。
そしてもうひとつ注目されるのは株価の動きです。米国株、たとえばNYダウは、レーバーデイをはさみ5営業日続落となりました(図表6参照)。これには、レーバーデイ明けで実質的な夏休み明けからトレードを本格再開したトレーダーが、まずはショート戦略を試している影響が考えられます。
ちなみに昨年は、レーバーデイを挟み、NYダウは最大1割の下落となりました。昨年のレーバーデイ明けから米ドル/円が一段安に向かったのは、そんな米国株の下落に連れた面が大きかったでしょう。
さて、約2ヵ月続いた小動きから、米ドル/円が109~110.5円のレンジをどちらに抜けていくのか。以上見てきたことからすると、予め米ドル高、米ドル安といった方向感を決めるより、米金利や米国株の動きを見ながら、レンジを抜けた方向にしっかり付いていくといった考え方が基本になります。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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