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富裕層の相続は「専門家」によって支えられている
富裕層の多くが抱えている「これまで築いてきた資産をいかに守り、次世代へ承継していくか」という問題は、一筋縄で解決できるものばかりではない。保有する財産の価値を維持、あるいは高めていくことに腐心する一方、それらに影響を及ぼしかねない、親族間の課題が背景に存在していたりする。
しかし富裕層たちは、問題に粘り強く向き合い、最適解を探していく。ときには一般人には思いも及ばない選択をすることがあるが、そこには富裕層が頼りにする「資産防衛の指南役」のアドバイスがあるケースもある。
指南役の肩書はさまざまだ。弁護士、税理士、公認会計士といった士業、あるいはクリニックや企業経営のコンサルタント、不動産売買のプロたちもいる。本記事で紹介する、「相続実務士」の資格を世の中に送り出した相続コンサルタントの曽根恵子氏も、相続トラブルの解決と資産防衛に手腕を発揮するひとりだ。これまで実に、1万4800件もの相続問題が持ち込まれ、対処してきたという。
ゴールドオンラインでは、資産防衛を考える富裕層の側に立った記事を多く発信してきたが、今回は少し視点を変え、富裕層の資産防衛のサポートを担う専門家の立場から、話を聞いてみたいと思う。
株式会社夢相続代表取締役の曽根惠子氏が、相続実務業務をスタートしたのは1992年。当時より富裕層の相続のサポート役は、税金の計算や申告は税理士、各種登記は司法書士、そして係争が生じた場合は弁護士と、士業の専門家が役割分担して対応してきた。
同社はその相続対策市場に対し、それまでになかった、相続実務を「ワンストップ」で相談できる体制を構築。富裕層の資産防衛という観点から、生前対策の重要性を訴えるなど、独自の活動により富裕層の幅広い支持を得ている。富裕層ビジネスに照準を合わせることになったきっかけとは、どういうものだったのか。
曽根「新卒で勤務していた出版社を退職後、勧められてたまたま取得していた宅建取引士の資格を生かすため不動産業界へ飛び込み、会社を設立しました。そこで相続に悩む方々の存在を知り、相続コーディネート業務へとシフトしました」
会社を設立した場所が千葉県だったことから、当初よりメインの顧客は地主だったという。後にあらゆるタイプの富裕層が顧客となるが、いまも割合としてもっとも多いのは地主だ。多くの地主が抱える悩みには、どのようなものがあるのだろうか。
地主の悩みは「税金」、従来型の対策では対応できない
曽根「地主の方は、とにかく税金で苦労されています。金融資産と違い、毎年固定資産税がかかり、地域によっては評価も上がっていきます。相続が発生すれば、当然相続税もかかります。相続対策も、かつてのようにアパートを建てればOKという時代ではありません」
曽根氏は資産の組み替えを提案することが多い。活用が難しい土地は売却し、都市部の駅近の賃貸需要が見込める場所等に新しく土地を購入する。収益を生まない土地でも、住宅地として需要があれば売却できる。売却した資金で、収益を生む場所に不動産を購入するのだ。
曽根「資産の組み替えは、みなさん理屈では理解してくださいますが、実行に移せる人は多くありません。70~80代の世代は『代々受け継がれてきた先祖の土地はそのまま引き継がなければいけない』という意識が強いためです」
実際、土地を守るためにやりたい仕事をあきらめ、固定資産税や相続税の捻出のため、質素倹約に徹している地主も多いという。
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