東大入試「ゾウと1秒はどちらが大きいか」、どう答えるか? 陸上最大の野生動物といわれるゾウ。(※写真はイメージです/PIXTA)

医学部や東京大学の入試問題は面白い。知的好奇心がくすぐられ、腕に覚えのある受験生でも答えに窮する「風変わりな問題」も多い。連載の第2回は東京大学の「英文要約」。東大英語の要約問題は、例年「大問1-A」に配置されている問題形式です。おおよそ問題用紙一枚分ほどの、3~4段落からなる英文が与えられ、これについて80~100字ほどの日本語で要約を作る、というのが課題です。なかなか興味深い問題ですが、「あなたにとってゾウと1秒はどちらが大きく思えるか?」という奇想天外な質問をどう読み解けばいいのでしょうか。

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この質問の意味、あなたはどう考えますか

「医学部」「東大」で求められる論理的思考力第2弾は、東京大学の英語過去問の1番「英文要約」を素材として、少々考察してみたい。まずその英語の問題文を実際に見ていただこう。何と言ってもこれは英語の試験である。ひとまず英語を読むことは避けて通れない。だが、10行程度の英文とはいえ、内容はなかなかどうして手ごわい。

 

市販の英文解釈の問題集でも、本問には〈難問〉との記号が付されているので簡単に料理はできそうにない。そこで英文を読むのが難儀な方は、英文を読み飛ばして頂いても構わない。それは本稿の最大の目的が東大の入試英語でどういう能力が問われているのかを知ってもらうことだからだ。書かれている内容が分からなければ、話は先に進まない。

 

下の和訳例(一部意訳している)を読み進め、全体を把握しつつ、東大が問うている論理力について一緒に考えて頂ければよい。今回は、重要な論理的思考力のうち「推理力」「整理要約能力」「比較能力」が問われていると考えられる。

 

【英文】

次の英文を70〜90字の日本語に要約せよ。ただし、句読点も字数に数える。

 

Some years ago, on a journey to America, I passed the time by asking my fellow passengers to answer some rather strange questions. The first was: 'Which seems to you the larger, an elephant or a second?After explaining that I meant a second of time and not a second elephant, I then tried to find out what sort of length of time people would consider equal to the size of an elephant. One man was a physicist. He insisted that the second must be equal to the distance travelled by light during that interval of time which is much larger than an elephant, of course. But most other people voted for the elephant, though there were wide differences in the selection of a time suitable to compare with it. Why would most people feel sure that an elephant is larger than a second? Presumably because we think of an elephant as larger than most animals we know, and seconds are smaller than most of the time intervals with which we are concerned. What we are really saying is that an elephant is large for an animal and a second is small as time goes. So we instinctively compare unlike objects by relating them to the average size of their kin.

 

【和訳例】
数年前のこと、アメリカへの旅の途上で、暇つぶしに同乗者にかなり奇妙な質問をいくつか投げかけ答えてもらった。最初の問いは、「あなたにとって、ゾウと1秒ではどちらが大きく思えるか」というものだった。ここに言うsecondは1秒を意味し、2頭目のゾウを意味するものではないことを説明した上で、同乗者がどういう時間の長さをゾウの大きさに見合うと考えるのかを私は知ろうとしたのだった。

 

乗客の一人に物理学者がいた。彼は1秒間を、その時間で光が進む距離に等しくなければならないと強調した。それは勿論ゾウよりもはるかに大きい。しかし他の多くの者はゾウに1票を投じた。もっとも、ゾウと比較してふさわしい時間を選ぶとなると、各人に大きな差が生じたのだった。

 

どうして大半の者がゾウは1秒よりも大きいと確信しているのか。もしかするとゾウは、我々が知る多くの動物よりも大きいと考え、秒というのは我々に関わる時間の大半よりも小さいと考えるからかもしれない。恐らくここで示されているのは、ゾウは動物の中では大きく、秒は時間の単位としては小さいということである。それ故、我々は異質な物同士を比べるのに、本能的にそれらを同類の平均値と結び付け評価しているということになる。

 

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作家 医事法学者

東京都出身。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了、一橋大学博士(法学)。現在は獨協医科大学医学部医学科で医事法制の担当教員のほか、医学部専門予備校クエスト、医学部受験予備校インテグラ、家庭教師のトライで講師を務めている。また、医学部受験情報を発信するFM栃木RADIOBERRY「ハカセ公夫の受験ホットほっとライン」で、DJも務める。主著にシリーズ累計25万部を超える『「勉強しろ」と言わずに子どもを勉強させる法』「オトバンク FeBe版 勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」(以上、PHP研究所)など。長く医学部受験を指導しており、『医学部の面接』『医学部の実戦小論文』(以上、教学社)は医学部受験生のバイブルである。なお、東大受験漫画『ドラゴン桜』9巻にも登場している。活動状況は、「小林公夫オフィシャルサイト」「小林公夫Twitter」「小林公夫の愛でたいモノたち」をご覧ください。著者撮影/佐々木健

著者紹介

連載「医学部」「東大」入試で求められる論理的思考力

わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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