(写真はイメージです/PIXTA)

葬式費用は、本来、遺族が負担すべきものですが、被相続人(亡くなられた方)の死亡により必然的に生ずる費用であると考えられているので、相続財産から控除することができます。本記事では、相続財産から控除できる「葬式費用の範囲」を税理士が解説します。

「葬式費用」のうち、相続財産から控除できないもの

●香典返戻費用

 

香典について、社会通念上相当と認められるものについては贈与税が課税されないことから、香典返しについても葬式費用に含めない(相続財産から控除できない)こととされています。

 

香典返しを行っていない場合には、「会葬御礼」が香典返しとみなされるため、葬式費用には該当しません。ただし、「会葬御礼」とは別に香典返しを行っている場合には、会葬御礼費用は葬式費用に該当します。

 

●墓碑・墓地の購入費用や借入料

 

墓碑・墓地について、相続税の非課税財産とされていることから、その購入費用や借入料については葬式費用に含めないこととされています。

 

●法会に要する費用

 

初七日・四十九日、一周忌などに関する費用です。これらは「葬儀」ではなく、「供養」に該当するため、葬式費用には該当しません。

 

なお、初七日については、通夜・告別式と同時に行っており、代金が区別されていない場合には葬式費用に含めることができます。また、四十九日の納骨費用については葬式費用に含まれます。

 

●医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

 

例えば、ご遺体の解剖に要した費用などです。こちらは葬式とは関連がないため、葬式費用には該当しません。

 

●領収書がない場合

 

お布施や戒名料、心付けなど、葬式費用には領収書がもらえない場合も多々あります。「領収書がないと葬式費用として控除出来ないのではないか」と考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはありません。

 

領収書がなくても実際に支払った金額であれば葬式費用に含めることが出来ますので、「支払先・支払金額・支払日・用途」をしっかりとメモしておきましょう。

 

ここまで、一般的な葬祭儀礼を前提に、葬式費用の範囲を解説してきましたが、宗教や地域的慣習により葬式の形式は異なることから、葬式費用に該当するかの判断が難しいものもあろうかと思います。もしも「何が葬式費用に該当するか」迷ったら、専門の税理士にお問合せ下さい。

 

 

野口 裕太

会計事務所Lirio

公認会計士/税理士/行政書士

 

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