(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産を購入する際、現地を見て「公道」と思い込んでいたものが、よくよく調べると「私道」だったというケースがあります。私道沿いの土地は比較的安価で購入できますが、建物を建てる際、または次に売却する際に手間がかかりがちです。私道沿いの土地は購入しても大丈夫なのでしょうか。また、建物を建てる場合どのようなリスクがあるのでしょうか。具体的な事例をあげながら、対処法を解説します。

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      お買い得でも「権利関係がらみのトラブル」が心配…

       

      私道沿いの土地であっても、一定の条件を満たせば建物が建築できることはお分かりいただけたと思います。私道沿いの土地は、セットバックによって土地面積が目減りしてしまうことや、権利関係がらみのトラブルが起こる可能性が高いため、周辺相場より割安で販売される傾向にあります。

       

      ある意味“お買い得物件”ではありますが、「権利関係がらみのトラブル」がどんなものなのかについても知っておく必要があります。

       

      権利関係のトラブル➀ 私道の所有者が複数いる

       

      古い時代に建てられた長屋の名残で、私道の所有権はその道沿いに建つ複数の住宅所有者が「〇〇分の〇」という形で共有しているのが一般的です。所有権登記を行った時期が数十年前のものだと、登記名義人がすでに死亡していたり、その子供や孫の所在も不明で連絡がつかないケースが出てきます。

       

      そこで問題になるのが私道の管理です。経年劣化による凹凸・ひび割れの修繕や、私道下にある水道・ガス管工事が必要な場合、私道の所有者全員の承諾と出資が必要となり、一人でも連絡が取れない所有者がいると工事ができず、居住者の生活に支障をきたすことになります。

       

      権利関係のトラブル② 私道部分が分筆されていない

       

      見た目には幅員4m前後の道路に面して建物が建っているものの、土地の測量図や公図を確認すると道路の表示がまったく見当たらない場合があります。これは、道路(私道)部分が登記簿上分筆されていないことを表わします。

       

      もしこのまま売却するとなると「無道路地」の扱いとなり、価格評価も低くなってしまいます。この土地を購入する側としては安価になり喜ばしいことかも知れませんが、無道路地には建物が建てられないので利用価値がありません。現況で幅員4m前後の私道が通っている状態ならば、売主に対して土地の測量(=隣接土地所有者との境界線確認)を求め、私道部分の分筆を済ませてもらってから引き渡しを受けた方が賢明といえます。

       

      権利関係のトラブル③ 私道の所有権がない

       

      「私道を複数の所有者で共有している」ということではトラブル➀と同じですが、これを「〇〇分の〇」という形ではなく、住宅所有者の数で分筆して個別登記しているケースもあります。その分筆された私道が各所有者の住宅前に割り振られていれば問題ないのですが、住宅から離れた飛び地の私道が割り振られていることもあります。

       

      ということは、他人の家の前に自分所有の私道があり、自宅前の私道は他人の所有物になっているということです。こういった状態で建物の新築や道路掘削工事を行う場合は、自宅前の私道所有者から諸々の許可を得なければなりません。こうなると無道路地と同じ扱いになりますので、将来売却する際も値引き交渉されるなど困難を極めます。

      一等地が多いため、問題解消が可能なら購入検討も

       

      私道沿いの土地は、戦前からある長屋住区に残っていることが多く、古い時代から続く権利関係のトラブルもあるため敬遠されがちです。

       

      しかし、そういった土地は都心の一等地にも多数残っており、権利関係およびセットバックの問題が解消できそうであれば、購入を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
       

       

       

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        ※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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