「医師は不要になる?」…ICTとAIが医療の現場にもたらす変革 (※写真はイメージです/PIXTA)

医療の進化はめざましく、最先端の技術が駆使されながら、あらゆる病気が克服され続けています。また簡易的なものではインシュリンの注射など本人ができる医療行為も認められているものがあり、医師がいない自宅医療も決して夢物語というわけではない未来がやってくるかもしれません。そのような中で、今は医療現場にもICTとAIの導入が始まっています。この技術導入によって、将来医者は不要になってしまうのでしょうか?

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すでにはじまっているICTによる医療改革

専門的な医療の世界における知識というのは、一般の方にはなかなか理解できないものです。それゆえ医師は国家資格でもあり、狭き門の資格の最高峰でもあります。そのなかでも名医と呼ばれる医師は、自身の経験のなかで得た貴重な知識や診断・治療技術を身につけています。

 

ところが、これを後進の医師たちに言葉で伝えるのはとても難しい問題です。せっかく得た知識も人に伝わらなければ、それっきりになってしまうのです。このような状況において、期待されているもののひとつがICTによる医療改革。この医療改革自体には医療技術はもちろんですが、医療教育も含まれているのです。

 

今では当たり前のようになったCTやMRIといった技術ですが、これまでは3D撮影しても通常モニターで見れば平面的な2D画像でした。ところがここに、VR技術が導入されたことで、3Dで再現することが可能になりつつあります。その結果、様々な角度から画像を確認することが可能となり、病巣の位置が正確にわかるようになります。より正確な診断が下せるわけです。このようなビジュアル化あるいは数値化されることによって、これまで難解だったことが理解しやすくなっていくのです。

 

こうした医療の技術革新は、まだ専門機関でのみ実施され始めていることですが、開発が進むことでいずれ簡単な解析ソフトのできる時代がやってきます。こうしたものを利用するようになれば、一般の人でも自身の健康チェックができるようになっていくことでしょう。

 

その結果、病気の早期発見や予防にも役立たせられることが可能になってくるのです。

 

また、こうした技術の発展による医療変革として考えられるののひとつに、遠隔診療システムの進化があります。すでに導入されているところもありますが患者のそばにいなくても状況を離れた場所にデータ転送し、モニターで医師が確認できるという技術。すでに心音・尿・網膜などの状況を、スキャニングをしてデータを医師のもとに送ることができ、さらにICTが進化すれば、血液採取・CTやMRIのような画像といったデータも、離れた医師のもとに送れるようになるでしょう。

 

そうなることで、症状の軽い患者に限定されますが、医師は処方を伝えるだけで済むために効率的となり、一般の人にとっては医療がより身近で手軽なものとなっていくと予想されています。

AIやロボットは、やがて医師を不要な存在にするのか?

ところで、日々その進化の様子が伝えられる人工頭脳のAIですが、現在、医療においてはどのような状況なのでしょうか。様々な研究が進められていますが現在のAI利用とは、画像データの蓄積と、そこから導き出せる可能性を示唆するといった程度。到底、経験を積んだ医師の足元にも及びません。

 

ただ、AIのベースとなるビッグデータとは経験則に匹敵するほどのものであることも事実で、たとえばスキャン画像がどのようになっていれば、それは癌であるかといったデータが蓄積されているのです。AIはこのビッグデータを用いて、その患者の映像と照合し癌の可能性を見つけ出しているのです。

 

今はこの段階でも、今後は癌と診断された場合では、その細胞分析結果や遺伝子情報が、ビッグデータと関連付けられます。そして、そこから治療方法が選択できるようになっていくようになるのです。つまり、今後の技術の発展次第では、ある程度の診断程度であれば、AIでも可能ということになります。

 

また、人との大きな違いであるデータ分析の面で考えると、ビッグデータと患者自身の情報を照合することで、診断をするだけではなく、病気の種類や今後の進行が予測できます。加えて最適とされる治療方法や組み合わせ、順番なども提案されるようになり、治療結果のシミュレーションも可能となりそうです。

 

このようにお伝えすると、将来はAIがあればすべて解決しそうに思いがちですが、実はそうではありません。AIにできることは、入力されたデータと蓄積されたビッグデータを照合し、よりよい選択をすることです。これは確立から導き出された結果であり、そこにはなぜその答えになったのか、という判断理由はありません。

 

相手が機械の場合であればともかく、人体は千差万別。誰もが同じ反応をするわけではなく、こうした予測とは違った状況が生まれることもあるものなのです。とくに手術の現場を見ればこのことは明らかであり、導入されている外科手術のロボットは、自ら判断することはありません。あくまで医師の動きを正確かつ緻密に再現するものです。顕微鏡やアームなどを装備しているため、医師が操作することで、正確な手術が行えるのです。

 

理論の上では、これを遠隔操作することは可能ですが、実際には様々な問題が山積みです。たとえば通信エラーがそうです。ミスの許されない場面で不測の事態が起きてしまったら、取り返しがつきません。また操作上のタイムラグ問題も存在します。こうした諸問題をクリアするまでは、まだまだ時間もかかりそうです。

 

AIは、人のように何かを考えて判断する、というものではありません。あくまでデータベースをもとに、そのなかから確率で最適なものを選別する、というものです。シンギュラリティと呼ばれるAIが脳を超える日がやってくるのかどうかはわかりませんが、理由付けと判断することをAIができるようになればともかく、現段階では医師の代わりにはなることはなく、補助するツールとしてその活躍の場を広げていく、というのが未来なのかもしれませんね。
 

 

 

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