FXのナンピン買いは、博打の賭け金を増やすのと同じ
ところが往々にしてナンピン買いというのは失敗する。ではなぜナンピン買いがうまくいかないのかという理由を考えてみよう。
そもそも株価が下がった時の対応方法は3つしかない。①あきらめて損を覚悟で売ってしまう、②安く買える好機ととらえてナンピン買いをする、③しばらく様子を見る、だ。多くの人は前述の損失回避の心理から①の損切りはなかなかやらない。最も多いのは③の様子見で、その後さらに下がったら②のナンピン買いをするか、そのまま何もせずに塩漬けになってしまうことが多い。
株式投資の大原則は、「安い時に買って高い時に売る」ことではなく、「割安な時に買って割高な時に売る」のが正しい。株価というものは常に適正な企業価値を表しているわけではなく、上下にブレるものだ。したがって単に株価が下がっただけでは買い増しをする理由にはならない。その企業の業績が悪化して下落したのであれば、さらにそこから下がるかもしれないからだ。
これは株式だけの話ではない。外国為替取引の場合ならなおさらだ。金利が高いからといって新興国通貨建ての債券や投資信託を買ったことがある人もいるだろう。ところが予想に反してその通貨が下落することはよくある。
外国為替取引というのは単なる「両替」に過ぎない。そして為替レートというのはその両替を決める比率のことなので、短期的な両替比率の変化は需給に左右される。
したがってその動きは全く読めない。だとすればその下落したところでさらに買い増しをすることが必ずしも正しい行動というわけではない。それらの新興国通貨が下落したとしても、そこで買い増しをするのはさらに博打の賭け金を増やしているのと何ら変わりない。短期売買で利益をあげようというのであれば、むしろルールを決めて損切りをする方が良い結果になることも多い。