2021年FOMCメンバーの金融政策スタンス(7月改訂版) (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●6月のFOMC後、一部メンバーからタカ派的な発言もあり、改めて金融政策スタンスについて考える。

●常任メンバー1人と、メンバー4人のスタンスは、6月のFOMC後、タカ派方向にシフトしたとみられる。

●5人のスタンス変更は織り込み済み、来年のメンバーの顔ぶれと利上げの有無も市場の関心事に。

6月のFOMC後、一部メンバーからタカ派的な発言もあり、改めて金融政策スタンスについて考える

3月12日付レポート『2021年FOMCメンバーの金融政策スタンス』では、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つメンバーの金融政策スタンスを、ハト派(景気重視)、中立、タカ派(物価重視)の3つに区分しました。当時は、パウエル議長をはじめ多くのメンバーが、金融政策の正常化には慎重な姿勢を示していたため、メンバーのほとんどは、ハト派的なスタンスと推測されました(図表1)。

 

(注)2021年のFOMCで投票権を持つメンバー。 (出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]FOMCメンバーのスタンス(3月時点) (注)2021年のFOMCで投票権を持つメンバー。
(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

しかしながら、6月のFOMCで公表された、メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」では、2023年に2回、0.25%の利上げが示唆され、また、その後も一部メンバーからタカ派的な発言がみられました。そこで今回のレポートでは、これらの経緯を踏まえ、改めて2021年のFOMCで投票権を持つメンバーの金融政策スタンスについて考えます。

常任メンバー1人と、メンバー4人のスタンスは、6月のFOMC後、タカ派方向にシフトしたとみられる

まず、毎年投票権を持つ常任メンバーでは、パウエル議長をはじめ、ほとんどのメンバーがスタンスを変えていないと思われます(図表2)。ただ、ウォラー理事は最近、量的緩和の縮小(テーパリング)について早期実施の可能性を示唆しており、ハト派から中立にスタンスが変化したとみられます。なお、クオールズ理事兼金融規制担当副議長の任期は10月13日となっており、退任の場合は、後任のスタンスが注目されます。

 

(注)2021年のFOMCで投票権を持つメンバー。 (出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]FOMCメンバーのスタンス(7月時点) (注)2021年のFOMCで投票権を持つメンバー。
(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

次に、2021年に投票権を持つメンバーでは、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁と、アトランタ地区連銀のボスティック総裁が、2022年の利上げの可能性を示唆しており、中立からタカ派にスタンスを変えたと推測されます。また、シカゴ地区連銀のエバンス総裁と、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、年内のテーパリング開始の可能性に言及しており、ハト派から中立にスタンスを移行したと思われます。

5人のスタンス変更は織り込み済み、来年のメンバーの顔ぶれと利上げの有無も市場の関心事に

つまり、2021年に投票権を持つメンバー11人のうち、5人のスタンスが、6月のFOMC以降、タカ派方向にシフトしたとみられます。ただ、2021年は、テーパリングの開始時期が市場の焦点となっており、現時点では、来年早々の開始を見込む向きが多いように思われます。そのため、5人がスタンスを変えたこと自体、市場はすでに織り込み済みと考えられます。

 

また、2022年の利上げの有無も市場の関心事ですが、2022年のFOMCで投票権を持つ地区連銀(クリーブランド、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)の総裁4人は、タカ派のスタンスと推測されます。ただ、政策決定に関しては、常任メンバーの発言がより重要であり、2022年は1月31日にクラリダ副議長、2月8日にパウエル議長が、それぞれ任期を迎えるため、再任されなかった場合の後任人事も要注目です。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年FOMCメンバーの金融政策スタンス(7月改訂版)』を参照)。

 

(2021年7月28日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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