③父、母ともに会社員で厚生年金加入者
父は大学を卒業してから定年を延長して62歳まで働き、母は父と結婚してからも会社員として働き続けました。父が先に亡くなった場合、母には3つの選択肢があります。
Aタイプ 自分の老齢基礎年金と自分の老齢厚生年金
Bタイプ 自分の老齢基礎年金と夫の老齢厚生年金3/4(遺族厚生年金と同額)
Cタイプ 自分の老齢基礎年金と夫の老齢厚生年金1/2と自分の老齢厚生年金1/2
これらのうち、最も多い額になります。
〈例〉以下の状況で夫が亡くなった場合
夫の厚生年金 10万円
妻の厚生年金 7万円
●Aタイプ
妻の老齢厚生年金……7万円
妻の老齢基礎年金……6万5000円
合計 13万5000円
●Bタイプ
夫の老齢厚生年金3/4(遺族厚生年金)……7万5000円
妻の老齢基礎年金………………………………6万5000円
合計 14万円
●Cタイプ
妻の老齢厚生年金1/2……3万5000円
夫の老齢厚生年金1/2……5万円
妻の老齢基礎年金…………6万5000円
合計 15万円
父が亡くなった後、母はCタイプの月額15万円、年金が受け取れるという計算になります。厚生年金部分は8万5000円です。厚生年金の内訳は、自分の老齢厚生年金が全額の7万円で、差額1万5000円が遺族厚生年金になります。
上述の「①父は自営業・母は専業主婦…2人とも国民年金加入者」の自営業者のように、遺族基礎年金は、妻(夫)に幼い子がいない場合はもらうことができません。遺族基礎年金をもらえない60〜65歳未満の妻で、結婚生活が10年以上続いた人には「寡婦年金」という制度があります。寡婦年金がもらえない場合は国民年金保険料が掛け捨てになってしまうので、死亡一時金が支払われます。寡婦年金と死亡一時金は、どちらかを選択します。夫が亡くなったときの妻の年齢によって、どちらが有利なのかが変わります。
親が加入する年金の種類を知っておき、親が亡くなったときにどのような収入になるのか想定した上で、介護プランを立てましょう。資金計画を立てやすくなり、ムダな出費を防ぐことにもつながります。
井戸 美枝
井戸美枝事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士
産業カウンセラー
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走