年金込みで「1ヵ月の収入」を計算すると…
貯金があるからといって安心してはいけません。現役時代と同じ生活スタイルを送り続けていたため、退職金や貯金はたくさんあっても、取り崩すペースが速すぎて「介護が必要なときにお金がなかった」ということも少なくありません。
M男さんの両親は夫婦で働いてきたとはいえ、年金収入は2人で10万円程度しかありませんでした。年金収入の不足分を働いてカバーしてきたのですが、リタイアした後はどのような生活になるのでしょうか。一家の収入がどれだけ減るのか、それに対して、固定費、食費などはどれだけかかるのか、1ヵ月の収入と支出を計算してみましょう。
収入 老齢基礎年金10万円(夫婦で)、M男さんから3万円 合計13万円
支出 23万円
食費 6万円
水道光熱費(電気、ガス、水道)5万円
通信費(固定電話、FAX、スマホ代)4万円
ドラッグストアでの買い物代 2万円
被服費 2万円
自動車ローン代 2万円
医療保険代(2人で) 1万円
そのほか 1万円
収支を洗い出すとなんと月々10万円も赤字が出ていたことがわかりました。持ち家なので家賃、駐車場代はかかりませんが、固定資産税が年間5万〜6万円、自動車税が同5万円、さらには隔年で車検代がかかります。1年で赤字は130万円ぐらいになることがわかりました。
10年で支出は1200万円になり、リフォームや旅行代などを貯金から差し引くと、両親が80代半ばで介護が必要になりそうなころに貯金が底をつく計算になりました。そこで、年金生活に入る前に、1ヵ月の支出を改めて見直すことにしました。
レシートやクレカ明細の項目に、◯△×をつけてみる
2019年の総務省「家計調査」によると、高齢無職世帯のうち高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60 歳以上の夫婦のみ無職世帯)は、実収入は23万7659円、税金や社会保険料を差し引いた金額の可処分所得は、20万6678円です。これに対して、消費支出は23万9947円で、3万3269円の赤字となっています。
定年を迎えて家計に余裕がなくなったからといって、急に家計を切り詰めるのは難しいものです。現役のうちに支出を見直して、ムダだなと思ったものはカットしておきましょう。支出カットのポイントは、すべての項目を「一律10%カット」とするといった無理はせず、満足度の低い支出から削る方法がおすすめです。満足度が高い支出をカットしてしまうと、反動が出てかえってムダづかいをしてしまいがちです。
1ヵ月どこで何を買ったのか、レシートやクレジットカードの明細をためておいて、項目に◯、△、×をつけてみましょう。買わなくてもよかったものは「×」、ムダではなかったものは「◯」、中間が「△」です。
これを3〜6ヵ月続けると、自分の習慣がわかり、改善点が明確になります。以下、主な支出項目を種類別にあげていきます。
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