前回は、現金を不動産に変えることで、どのようなメリットが得られるのかを説明しました。今回は、年収や貯蓄が少なくても不動産投資が可能である理由を見ていきます。

「家賃収入」の中からローンの返済は十分可能!?

筆者は、まだ保険会社に勤務していた28歳のとき、5件の不動産を買いました。8月に1件、翌年1月に2件、2月に1件、6月に1件――といった具合です。

 

ほとんどはワンルームマンションで、中に1つだけ多少部屋数の多い物件もあります。これら5件の現時点での評価額をおおまかに計算すると、大体1億3000万円程度になります。

 

不動産投資をしたきっかけは、会社の同期や先輩で、不動産投資をしている人がいたからです。彼らにレクチャーを受けているうちに、私は少しずつ不動産投資の魅力を知っていきました。

 

そのときは、まだマネーパズル(第1回参照)をはっきりと確立していたわけではありませんが、蓄財とお金の不安を解消する(パズルでいえば、「マスを埋めていく」)うえで、非常に優れた投資対象だと強く感じたからです。

 

ちょうどその頃、不動産の市場価格は低迷していたのと、金利も低水準だったため、ここが買い時だろうという思いもあって、最初の1件を買うことになりました。

 

不動産会社は、やはり会社の先輩に紹介されたところに相談しました。非常に小さい会社だったので、最初はかなり不安でしたが、考えてみれば不動産会社が潰れたところで、自分の持っている不動産が共倒れするわけではありません。

 

そのため、本当にいい物件だったら、会社はどうあれ買ってしまおうという気持ちで臨みました。

 

結果的に、立地などの条件が非常によい物件を紹介していただいたので、私はすぐに購入を決めました。物件探しはすべて不動産会社がやってくれたので、自分が手をわずらわせることはありませんでした。当時はサラリーマンだったので、その点は非常に助かりました。

 

ちなみに、諸経費を支払った以外はほとんど自己資金を使わず、不動産投資ローンを組んで買いました。まだ20代でしたが、特に大きな借金もなく、また買う物件もそれほど高額ではなかったので、ローンはすんなりと通りました。

 

そこからローンの返済が始まったわけですが、家賃収入の中から支払っていけばいいので、本業の収入からの持ち出しが生じることはありませんでした。むしろ、ローン返済分よりも家賃収入のほうが多いので、収入は増えました。

 

そのため、最初は「こんなにあっさりと、懐を痛めることもなく、収入を増やせる方法があったのか」と、なかなか実感がわかなかったくらいです。

 

不動産にハマる人は、1件買うとその面白さに取りつかれる傾向がありますが、私もそうで、1件買った直後から「もっと不動産を買いたい!」と強く思うようになりました。

 

それで、どんどん物件を探すようになり、トントン拍子のうちに5件もの物件を短期間のうちに手に入れることになったのです。1件は頭金を多めに入れ、残りの4件はほぼ全額をローンで購入しています。

自分に適した物件があれば「早めに」投資する

ここまでハイペースに事を進める必然性はないですが、普通のサラリーマンでもローンを組んで、短期間の間にこれだけの不動産投資ができるということは、よくおわかりいただけたのではないかと思います。

 

「5件も不動産を持っていると、管理が大変でしょう」ともいわれますが、維持・管理は専門の不動産管理会社(以下、管理会社)に依頼しているので、自分ではほとんど何もしていません。

 

時間がある人はともかく、サラリーマン大家であれば、このような管理会社にあらゆる雑務を委託して、手間を最小限に抑えるのが一般的です。

 

不動産投資に関しては、「年収がいくらあれば始められますか?」「いつから始めるのがいいですか?」といった質問をよく受けます。実際に25歳・年収300万円台のサラリーマンでも購入した例はありますから、もし不動産で将来の対策をしようと考えるなら、早めに始めたほうがいいでしょう。

 

年収や年齢は、ひとつの条件であって制限ではありません。不動産の価格も種類もさまざまですから、自分に適した物件があれば早めに投資する、といった考え方が適切だと思います。

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『30歳からはじめる一生お金に困らない蓄財術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書は情報の提供および学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資の成功を保証するものではなく、投資の際は必ずご自身の責任と判断で行ってください。本書の内容に関して運用した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。本書に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後変更されることがあります。

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

工藤 将太郎

幻冬舎メディアコンサルティング

社会保障制度の財源が危ぶまれ、賃金格差が広がる今の日本にあって、これから結婚・子育て・マイホームの購入・老後を迎えようとする世代には将来のお金に対する不安が広がっています。 将来のお金が不安な時、たいていの人は…

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