贈与税の「暦年課税」と「相続時精算課税制度」を比較する (※画像はイメージです/PIXTA)

贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2パターン存在する。具体的にどのような違いがあるのか、両者のメリット・デメリットを相続問題に精通する税理士が解説する。※本記事は、安部和彦氏著『相続税調査であわてない 「名義」財産の税務』(中央経済社)より抜粋・再編集したものです。

贈与税、改正前後で税額はどれぐらい違う?

贈与税の課税標準は、納税義務者が一年間(暦年)に贈与によって取得した財産の価額の合計額(課税価格、相法21の2)である。課税価格から控除されるのは基礎控除(相続税法上は60万円であるが措置法で110万円に引き上げられている、相法21の5、措法70の2の3)及び配偶者控除(居住用不動産等に係る2,000万円贈与、相法21の6)である。

 

相続税法の改正前後の贈与税(暦年課税)の税率に関しては『贈与税の概要』(財務省HP)のとおりであるが、それに基づいて計算される改正前後の贈与税額の違いは図表1のとおりである。

 

(注)改正後のカッコ内は改正前からの増減額を示す。
[図表1]相続税法の改正前後の贈与税額の違い(暦年課税・早見表) (注)改正後のカッコ内は改正前からの増減額を示す。

生前贈与を容易にする「相続時精算課税制度」とは?

平成15年度の税制改正で、生前贈与を容易にし、次世代への資産の移転を促進する目的で、相続時精算課税制度が導入された。相続時精算課税制度は納税者の選択(選択しない場合は通常の贈与税の課税(暦年課税)となる)により適用されることとなるが、その選択に有無による贈与税の課税関係の違いは図表2のとおりとなる。

 

 
(出典)国税庁「令和元年分贈与税の申告のしかた」1頁
[図表2]暦年課税と相続時精算課税の概要図 (出典)国税庁「令和元年分贈与税の申告のしかた」1頁

 

相続時精算課税制度の概要は次のとおりである。

 

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    和彩総合事務所 代表社員 国際医療福祉大学大学院 教授

    税理士。東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設。

    医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。

    和彩総合事務所ホームページ(https://wasai-consultants.com

    著者紹介

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