(※写真はイメージです/PIXTA)

不安を抱える人の多い年金問題。老後のために知っておきたい知識を、経済評論家の佐藤治彦氏が解説します。※本記事は、書籍『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』(‎亜紀書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

きちんと届け出をしないと「生涯少ないまま」

第3号被保険者の期間でもらえるのは、第1号被保険者の人と同じ、国民年金の老齢基礎年金だけです。これは、20歳からの40年間、空白がなく、きちんと対応してきたとしても年間で約80万円です。元々少ないのです。

 

たとえば、学生時代の2年間と妻が56歳の時に夫が退職して第3号でなくなったのに届け出をせず4年間の国民年金保険料を支払わなかったとすると、合計で6年分の空白期間ができることになります。

 

40年分のうち6年分、つまり全期間の15%ですから、支給される妻自身の老齢基礎年金も15%減ってしまいます。年間80万円の基礎年金のうちの15%とは12万円、つまり、ざっくり毎月1万円です。

 

それが、生涯死ぬまで少ないまま続くのです。1万円あれば、毎日食費に300円余計に使えます。1万円あればお米が何キロ買えるでしょう。1人や2人の生活なら光熱費の多くをカバーできるでしょう。けっして気にならない金額ではありません。死ぬまでの毎月・毎日のことだとなおさらです。

 

とても大雑把な計算になりますが、たとえば65歳から老齢基礎年金をもらい始めて90歳で亡くなるまで25年間の間、もらえる年金が毎月1万円も減るとすると、300万円ももらう金額が少なくなります。たった6年間の空白でそれだけ損をします。では、この300万円をもらうために、年金のお金をいくら払うことになるのでしょう。

 

今は毎月の国民年金の保険料はおおよそ1万6000円です。12ヵ月で年間19万2000円。6年間払っても、その合計金額は115万円程度です。115万円年金のお金を払って、300万円の年金をもらう。年金を払わずに放っておくのと、どちらが得になるのかは明白でしょう。

 

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まずは、第3号被保険者の方は、夫が厚生年金を払わなくなったら、第1号被保険者になるのだ。自ら役所に届け出が必要なのだと覚えておいてください。

 

そして、穴が空いていることに気がついた方は、ああ、失敗した。損したと思っておられるでしょう。いったいどうすればいいか。

 

簡単に申し上げると、過去2年までのものは遡って払えます。また、60歳以降も国民年金には任意加入することができて穴を埋めることができます。

 

ちなみに、わかりやすく空白期間とか穴と説明してきましたが、役所の年金制度の説明では「未納」とか「未納期間」と表現されています。

 

このように年金には知ってもらいたいことが、山ほどあるのです。

 

 

経済評論家・ジャーナリスト

佐藤 治彦

 

 

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