金が「特殊な値動き」をする商品であるワケ
金は先進諸国の株や原油に比べれば、すっと取引頻度の低い商品です。それなのになぜ、こんなにボラティリティ※が低いのでしょうか。ここからは私の推理です。
※価格変動性
金の総需要は年間で4000トンを超えています。一方、新規に掘削され、精錬されて市場に出てくる金の総供給は年間3000トン台前半にとどまります。つまり、金は慢性的に需要過剰、供給過小の商品なのです。
だから、年間総需要の約4分の1は、宝飾品や延べ棒・コインとして個人世帯に退蔵されている金にもう一度流通市場に出てきてもらって、需給を一致させているわけです。
もちろん、一般論としては価格が高ければ高いほど一度退蔵された金のリサイクルによる供給量も増えるでしょう。ただ、延べ棒やコインはともかく、宝飾品として金を持っている人たちは、将来売るつもりで持っているわけではないと思います。
なんらかの理由で緊急におカネが必要になって、仕方なく金を売るというケースが多いでしょう。そういう人たちは、金価格が高いほど多く売るか、それとも低いほど多く売るか、考えてみましょう。
始めから売るつもりで持っていたものなら、高いほど多く売り、安いほど少なく売るというごくふつうの行動に出るでしょう。
でも、持ちつづけるつもりだったものを一定額のおカネを工面するために仕方なく売るケースなら、高ければ高いほど売る量は少なくて済み、安ければ安いほど売る量は多くしなければならないはずです。
金山経営は、かなり長期にわたる計画を立てて、探査、試掘、採掘、砕石、精錬を続ける事業です。製品である金地金の価格が大幅に動いても、あまり短期的に生産量を変化させるのは得策ではありません。そういう企業が売り手の約4分の3を占めているわけです。
そして、残る4分の1近くは、退蔵していた金をおカネに替える必要を感じている人たちです。
売り手の4分の3は生産量を価格に応じてすばやく変えることはできず、4分の1近くが、価格が安いほど売る量を増やし、価格が高いほど売る量を減らすという行動をとる市場を想像してみましょう。
価格が上がると供給量が増えて値下がり方向に市場を動かし、価格が下がると供給量が減って値上がり方向に動かすという市場の自動調節機能は、うまく働くでしょうか。
むしろ、価格が上がるほど供給量が減ってさらなる値上がりを招き、価格が下がるほど供給量が増えてさらなる値下がりを招くことが多いのではないでしょうか。
そうすると、いったん上昇基調が確立されると延々と値上がりが続き、逆にいったん下落基調が確立されると延々と値下がりが続く、まさに現実の金価格が示している、なめらかな価格推移を見せることになります。
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