「口が達者なほうが、成功しやすい」の誤解
営業という仕事に対し、「口が達者なほうが、成功しやすい」と考えている人は、多いのではないでしょうか。実はこれは、典型的な誤解です。むしろ口下手なくらいのほうが成功しやすいと、私は考えています。
実際に、私がこれまで指導し、1000万円以上稼ぐようになった営業マンのほぼ全員が「口下手」でした。その一方で、お笑い芸人のような話術があるのに売れない営業マンを、たくさん見てきました。
この事実をとっても、口が達者であることは一流になるための必須条件ではないといえます。私の経験上、最初からしゃべりに自信がある人は、それを使って契約を取ろうと躍起になるあまり、「しゃべりすぎる」傾向があります。
営業マンにとって真に重要なスキルは、話術ではなく、コミュニケーションです。そしてコミュニケーションとは、相手との会話のキャッチボールで初めて成り立つもの。
わが身に置き換えて考えると分かりますが、一方通行で話してばかりいる人よりも、「自分の話をきちんと聞いてくれる人」のほうが、信頼できるはずです。
口下手な人は、自分がしゃべらない分、相手の話に耳を傾けるのが得意であることが多いです。そうしてお客さまの話をしっかりと聞き、その心がくみ取れるからこそ、最適な商品を提案でき、契約を預れるのだと思います。
したがって、営業マンという仕事の適性という点でいえば、「口が達者」よりも「人の話をよく聞ける」という能力のほうが、はるかに有用といえます。
もちろん口が達者なこと自体が悪いわけではありません。「しゃべりすぎる」という問題の根は、もう少し深いところにあります。
■自己中心的なうちは、成功できない
話術に自信があり、お客さまを口で丸め込もうとするような営業マンは、間違いなく「自己中心的」です。そうして自分にしか意識がいかないからこそ、言いたいことを一方的に伝えるばかりの「しゃべりすぎ営業」しかできないのです。
自己中心的であるというのも、売れない営業マンの多くに共通する特性といえます。ではなぜ自己中心的ではいけないのか。