「無欲は美徳」ではない!欲こそ営業のモチベーション
■強気な目標を掲げつつ、お客さまのために仕事をする
営業職の魅力の一つは、インセンティブでしょう。「売った分だけ給料が増えていく」という給与形態を採っている営業会社は多く、私の経営する会社も同様です。
そんな背景から、収入を上げることを一番の目的に、営業の世界に飛び込んでくる人がよくいます。ただ、もちろん誰もが高収入を得られるわけではありません。最初のうちは熱意に溢れていても、売れない期間が続くと意気消沈し、次第にやる気を失っていく営業マンを、私は何人も見てきました。
そうして情熱を失った売れない営業マンが行きつく先は、「言われたことだけやればいい」「食べていければそれでいい」というあきらめの境地です。せっかく営業という夢のある世界に入ってきたのに、最低限の安定を求めるようになってしまうのは、とてももったいないことです。
たとえ売れない日が続いても、あくなき成長欲をもち、強気なくらいの目標を掲げる人が、営業の世界に向いています。
営業成績でトップを取る。前年度の数字を上回る。史上最年少で管理職になる。他のメーカーのシェアを奪う。そうして具体的なビジョンを描きながら仕事をしていると、成長のスピードが速いですし、働くモチベーションも保てます。
ただし、営業マンの役割はあくまで「自社の商品やサービスを通じ、お客さまの悩みや課題、欲求を解消して、理想とする未来を提供する」ことにあります。それを忘れ、自分の成績や収入を上げるためだけに仕事をすると、前述の自己中心的な営業マンとなり、いつまで経っても一流にはなれません。
個人としては数字や成績といった具体的な目標をもちつつ、常にお客さまのために仕事をすることが理想的といえるでしょう。年収1000万円を稼ぐような営業マンたちは、仕事を自らの使命としていると感じます。
商品やサービスにより、将来が明るくなる人を一人でも増やす─。そんな思いで働いています。使命の大切さについて、次のような寓話を知っているでしょうか。
とある旅人が、道中で石を積んでいる3人の職人に出会い、それぞれに「何をしているのですか」と尋ねました。
1人目は「親方の命令で、石を積んでいる。暑いしもうやりたくない」と愚痴をこぼしました。2人目は「ここに壁を作っている。仕事は大変だけど、おかげで家族を養えている」と淡々と話しました。
そして3人目は「歴史に残る大きな教会を建てているんだ。多くの人に安らぎをもたらす偉大な仕事に携われて幸せだ」とうれしそうに言いました。
1人目の職人は、作業として嫌々石を積んでいます。2人目は、家族を支えるという役割をこなすべく仕事をしています。しかし3人目は、教会を建てるという大きな目標に向かい、人々の安らぎの場をつくるのを自らの使命として働いています。
それにより毎日モチベーションが高くいられ、石を積むほど幸せを感じるのです。営業マンも同じで、自らの仕事の本質を理解し、それを使命と思えるようになったら、ずっと成長を続けていけるでしょう。
笹村 敏夫
Live to Relief株式会社
代表取締役