本記事では、ファイナンシャルプランナーオフィスのLive to Relief(ライヴトゥリリーフ)株式会社代表取締役・笹村敏夫氏が、これまでの経験を基に「素直な性格の人ほど、売れる」理由ついて解説します。
「成績がいい」営業マンには、「素直な人」が多い意外な理由 (写真はイメージです/PIXTA)

<この連載の第1回記事はコチラから>

独自のノウハウは危険…「郷に入っては郷に従え」

営業会社の多くは、独自のノウハウやマニュアルを持っており、新たに入った営業マンはそれを身につけるところからスタートすると思います。

 

このマニュアルを「初心者用」と勘違いしている人がいますが、実は大きな間違いです。もちろん基礎となる技術解説も入っているでしょうが、それだけではありません。

 

キャリアがない人でもマニュアルを実践するだけでそれなりの売上をつくれるよう、自社のトップ営業マンたちが練り上げてきた、まさに「虎の巻」なのです。

 

売れない営業マンのほとんどは、このマニュアルを軽視していると感じます。他社での営業経験がある場合などは特に、「マニュアルなどなくても分かる」とばかりに独自の営業スタイルを貫こうとしがちです。

 

もちろんそれでトップ営業マンになれるのならまったく問題ないのですが、「虎の巻」を無視してでも売れるほどの天賦の才がある人など、本当に一握りだと思います。少なくとも私は、会ったことがありません。

 

郷に入っては郷に従え。新たな会社に入ったなら、一度自分のキャリアをリセットするつもりで、まずはその環境で推奨されているノウハウを徹底的に叩き込むというのが、成功への近道です。

 

マニュアルを前にしたとき、売れない営業マンは必ずといっていいほど、自分に合うやり方ばかりを選び取り、自己流でアレンジしようとします。そうして実践に出て、売れないと、「教えられたとおりにやっているのに、うまくいかない」と文句を言います。

 

マニュアルどおりにやらず、教えも守っていないのに、マニュアルが悪い、指導者が悪いと愚痴をこぼし、責任を他へと転嫁する……。そうした他責の発想も、売れない営業マンの典型的な傾向です。

 

なぜ、自分に合うやり方ばかり選んでしまうのか。他者からのアドバイスや教えに対し、人は半ば無意識に、「できそう」「できなさそう」という二つに仕分けしています。そして「できそう」なほうを心地いいと感じ、「できなさそう」なほうはやりたくないと感じます。

 

そして、人はより楽で心地いい道、すなわち「できそう」に仕分けされた行動を選びたがります。その結果、なんとなく「自分に合っているだろう」と思ったやり方にばかり目が行くのです。

 

ただし、自分にとって「できそう」なことしかやらないなら、営業マンとしての成長はありません。