バケーションレンタルホームは、近年流行しているハウスレンタル(民泊住宅)用途の収益不動産のひとつです。本連載では、米国フロリダ州オーランドの事例を通して、バケーションレンタルホーム投資の最新事情を紹介していきます。

民泊用途の不動産投資でオーランドが注目される理由

バーケションレンタルホームとは、バケーションに訪れるゲストに貸し出すことを目的とした戸建住宅・別荘で、ハウスレンタル(民泊住宅)用途の収益不動産と呼べるものです。個人宅の宿泊を仲介するAirbnb(エアビーアンドビー)のようなインターネットを利用した予約システムを通じて貸し出されます。

 

 

投資収益目的のフルオーナーシップ(完全所有権)である点で、コンドミニアムの共同持分権を週単位で所有・利用するタイムシェア投資とは、資産としての性格が異なります。

 

近年米国においても、シェアリングエコノミーの広がりとホテル利用にないバケーションホームの魅力・利便性の高まりから、ホテルのような従来型の宿泊施設よりも、ハウスレンタル(民泊住宅)での宿泊を好む観光客が増えています。

 

いま世界を席巻するAirbnbは、もともと個人が使っていない空き家や空き部屋を有効活用するために生まれましたが、最近では、Airbnbなどの民泊予約サイトを利用して貸し出すことを前提に、不動産を購入する動きが世界的に広がっています。

 

一方、日本をはじめ各国の規制当局は、ホテル業界など従来型施設との権益調整、衛生管理やテロ等悪用防止の観点からの安全性確保、地域住民とのトラブル防止の視点から、様々な対応に苦慮しています。

 

このような環境下において、ハウスレンタル用途のバケーションレンタル投資を行う場合、フロリダ州オーランドは、世界的にみても、最適地のひとつではないかと考えています。

 

そのように考える根拠は、以下の3点です。

 

●オーランドは、年間の来訪者数が64百万人にものぼる世界屈指の観光・保養都市で、ウォルト・ディズニー・ワールドをはじめとする複数のテーマパークが強力な集客マグネットとして存在していること

 

●バケーションホームを熟知したプロフェッショナルを活用することで、ホテルにはないバケーションホームならではの魅力・利便性を創り出すことに成功していること

 

●オーランドのバケーションレンタルホームは、短期宿泊のビジネスライセンス(Vacation Rental-Dwelling License)を州政府から取得するので適法に営業を行え、事前に様々なトラブルを避けることができること

 

フロリダ州オーランドのバケーションレンタルホームは、上記の条件が、安定したインカムを生み出すバックグランドとして存在しているからこそ、米国内外の投資家から注目されているのです。

民泊ブームの背景にある「ホテルへの不満」

米国人の国内旅行者の場合、ニューヨークやアトランタのような遠方から、自家用車でフロリダ州オーランドまで乗りつけてくるケースは珍しくありません。

 

また、とりわけ米国人は、両親や兄弟姉妹ファミリーとの家族旅行、友人同士のグループ旅行を好む傾向があり、オーランドでは1週間を超える長期休暇をとって滞在するファミリーや友人グループに出会うことができます。

 

ディズニー周辺には、500件近くのホテルが集まり、これらのホテルは、年間を通じ高い稼働率を維持していますが、実は特に長期滞在の場合、ホテルでの居住に「狭い、足りない、そして高い」といった不満を潜在的にいだいているのです。

 

「狭い」とは居住スペースへの不満、「足りない」は特にトイレ・シャワーといった水回りの設備、「高い」はズバリ料金です。

 

Airbnbなどの民泊サービスと同様、オーランドのバケーションレンタルホームでの宿泊が人気を博している背景には、このようなホテル居住の潜在的な不満があるのです。特に、長期滞在、大人数の場合は、バケーションステイの選択肢のひとつとして、最近その存在感が増してきています。

空間設計や内装設備が緻密に考えられた民泊用物件

オーランドにおけるバケーションホームは、ハウスビルダーやプロパティマネジャーのノウハウやセンスにもよりますが、レンタル専用住戸と永住者向け住戸の空間設計や内装設備について、その考え方や求める機能が大きく異なっています。

 

レンタル専用住戸は、不特定多数のゲストに、宿泊費をとって貸し出すことを前提にした民泊用住戸で、ここで言うバケーションレンタルホームを指しています。永住者向け住戸は、オーナー自身が家族と利用し住まうための住戸で、必ずしも他人に貸し出すことを前提にしていません。

 

レンタル専用住戸の分かりやすいプラン例をあげると・・・

 

●表玄関の施錠システムには、最初から暗証番号方式のキーレス錠が装備され、ゲストへの鍵の受け渡しが必要ありません。暗証番号はインターネットとWiFi機能を使って、リモートで変更が可能になっています。

 

●キッチンは、複数の家族や友人グループが、会話を楽しみながら、共同で料理をつくれるように、一般家庭用のキッチンよりも、かなり大きめのサイズ、広めのスペースになっています。

 

長期滞在の場合、毎日それほど代わり映えしないホテルの朝食よりも、好みのものを出来立てで食べられる点や、大人数でバーベキューやオーブン料理を、子供連れでも周りの人目を気にせずに、仲間内で何ら気兼ねなく食事を楽しめる点は、米国人でなくても好評です。1週間以上も毎日外食というのは飽きますし、経済的にも負担が重いですよね。

 

●米国の永住者向け住戸のクローゼットは、各ベッドルームに、日本では考えられないほど広いスペースが割り当てられていますが、長くて数週間程度の滞在になるバケーションステイの場合は、それほど大きなクローゼットは必要ありません。クローゼットを縮小した分を、他のスペースに割当てることで、バケーションステイに欠かせない別の空間を生み出すことができるのです。

 

このように、バーケションレンタルホームは、ゲスト・ユーザーの視点からバケーションステイに特化した空間設計や内装設備の仕様が緻密に考えられています。

 

またそれは同時に、投資家からみれば、保有するバーケションホームを貸し出す際のアピールポイントとなって、投資収益に貢献しているのです。

 

 

次回からは、年間最大10%のネット利回りが期待できるバケーションホーム投資について、フロリダ州オーランドの代表的な高級リゾート「チャンピオンズゲート」の事例を元に、その魅力と投資術についてご紹介していきます。

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