配偶者との死別後、男性は引きこもりがちに…
ある調査では、配偶者と死別し、独り身で生活している女性の約6割が「友人と過ごす時間が増加」し、5割が「外出時間が増加」したと回答しています。
男性では友人との過ごす時間が増加した人が女性の約半分にとどまり、逆に友人と過ごす時間が減少した人が女性の3倍近くにのぼっていました。
さらに男性の外出時間は増える以上に減ったと回答した人が最も多く、女性のほぼ2倍に達していたのです(第一生命経済研究所、2017年)。
配偶者と死別して独り身の生活になれば、誰とも会話をしないで一人で過ごす時間が多少なりとも増えるのはしかたがありません。
その上で、これまでお話の聞けた男性の皆さまのことを考えれば、やはり予想通りというべきなのでしょうか、男性は一緒に時間を過ごす友人が周囲に少なく、自室に閉じこもってしまう傾向がより顕著だったのです。
突然の孤独感から「うつ」や「認知症」になることも
さらに職場以外での交流や関心事が希薄で、身近な話し相手が妻だけだったりすると、その配偶者との死別により突然の孤独感に襲われることになります。同時に生活リズムや食生活が乱れ、栄養が偏ったりして健康上の問題を引き起こす可能性があるのです。
肥満、高血圧、糖尿病やがんなどのいわゆる生活習慣病を発症したり、そうした病気をさらに悪くしたりするだけではありません。中には、日々の意欲や会話が減って物忘れや怒りっぽくなるなどの認知症の初期症状が現れます。
また、急な環境変化に対応できず、どん底にいるような沈んだ気持ちや不眠などのうつ状態になったり、はたまたアルコールやギャンブルに依存するようになったりと、女性以上に健康障害が深刻化する場合が多いのです。
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清水 一郎
おひさまクリニックセンター北 院長
医学博士。性差医療専門医。大阪府出身。愛媛大学医学部卒業。
米国ペンシルバニア大学医学部博士研究員、徳島大学大学院消化器内科准教授、聖隷横浜病院消化器内科部長などを経て、現在、おひさまクリニックセンター北院長。1998年日本消化器病学会奨励賞、1999年Liver Forum in Kyoto研究奨励賞を受賞。
著書に、『女性肝臓学入門』『老いない美人 女性ホルモンできれいになる!』(以上、西村書店)、『患者だった医師が教える糖尿病が消える「ちょっとした」キッカケ16』(幻冬舎ルネッサンス)、『ストップthe熟年離婚』(幻冬舎MC)などがある。
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