農地の相続時には、所得税や相続税等の申告が一般的な相続と同様に必須となります。加えて農地の名義変更など、踏むべき手順は多岐に渡り注意が必要です。ここでは、農地の相続で発生する税金の概要のほか、相続税の申告について税理士の奥田周年氏が解説します。※本記事は、『図解と事例でよくわかる 都市型農家の生産緑地対応と相続対策』(ビジネス教育出版社)より抜粋・再編集したものです。

農地を相続する際に発生する「税金と手続き」

農地所有者に相続が発生した場合、亡くなられた方の所得税や相続税の申告が必要となります。また、農地の名義変更には、登録免許税がかかります。農地を相続する際に発生する税金を、前回の記事『農地の相続…時系列で追う「発生する税金・納付期限」のすべて』に続き、時系列でまとめました。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

 ◆亡くなられた方の所得税の申告…相続が発生してから4ヵ月以内 

 

亡くなられた方(被相続人といいます)のその年1月1日から亡くなられた日(相続開始日といいます)までの期間に発生した所得について、原則として相続人が、亡くなられた日から4ヵ月以内に、亡くなられた方の住所地の税務署に所得税の申告書を提出します。
 

所得税を納めなければいけない場合は、4ヵ月以内に納税も済ませますが、還付になる場合は、4ヵ月の期限を遅れて提出することもできます。

 

この申告を所得税の準確定申告といいます。

 

 ◆亡くなられた方の相続税の申告…相続が発生してから10ヵ月以内 

 

相続税とは、被相続人の財産の総額から債務の総額を差し引いた純財産が、基礎控除額を超えるときに発生する税金です。

 

この相続税は、相続開始日から10ヵ月以内に申告書の提出と納税を済ませなければなりません。

 

 ◆名義変更登録免許税の納付…被相続人の不動産取得決定後速やかに 

 

被相続人の不動産を取得する方が決まったことを証明する書類は、大きく遺産分割協議書、遺言書、死因贈与契約書の3種類があります。

 

これらの書類を基に、被相続人の名義から取得する方の名義に変更することを相続登記といい、法務局で手続を行います。

 

その手続の際に、登録免許税を法務局に納付します。

 

[登録免許税の計算方法]

 

被相続人から不動産の名義を変更する場合に必要な登録免許税は、次の算式で計算します。

 

★相続による移転登記:固定資産税評価額 × 0.4%

★遺贈、贈与その他無償による移転登記:固定資産税評価額 × 2.0%

 

 ◆不動産取得税の納付…名義変更の完了 

 

不動産の名義変更が完了すると、通常は不動産取得税の納付書が都道府県税事務所から送られてきます。

 

しかし、相続による名義変更は、原則として不動産取得税は非課税のため、納付書は送られてきません。例外的に、下記のケースでは、被相続人からの名義変更で不動産取得税が発生します。

 

★相続人以外の方が取得した場合

★死因贈与契約で取得した場合

 

[不動産取得税の計算方法]

不動産を取得した方に課税される不動産取得税は、下記の算式で計算します。なお、相続人が相続により不動産を取得した場合は、非課税です。

 

★土地:固定資産税評価額 × 1/2 × 3%

★建物:固定資産税評価額 × 3%(住宅以外は4%)

 

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図解と事例でよくわかる 都市型農家の生産緑地対応と相続対策

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