資産ポートフォリオの形成における「株式」の役割
株式は資産クラスとして重要な役割を担っています。欧米寄付基金のゴールは現在の支出に加えて、遠い将来の活用を目的としており、購買力の維持が必要で、株式は経済成長とともに価値成長が期待できます。債券はあくまで流動性確保、株式に対する安定的資産として存在しており、株式投資のほうが重視されています。
日本ではまだそこまでの位置づけには至っていませんが、有効フロンティアの議論でも触れたように、目標リターンをより低リスクで実現できるようなポートフォリオを構築するための基本的資産として株式は1つの選択肢です。
株式運用においては、国別、スタイル別の区分が利用されています。地域別として国内/外国、投資スタイルとしてバリュー/グロースや大型/小型です。戦略としてもパッシブ戦略、アクティブ戦略に大別されますが、アクティブ戦略もリスクをどれくらい取るのか、銘柄をどこまで分散または集中させるかなど様々な運用戦略があります。
資産クラスごとのベンチマークとしては、日本株式ではTOPIX、外国株式ではMSCIコクサイ株式指数(円換算または円ヘッジ)が一般的です。日本株式と外国株式を合わせて先進国株式としてはMSCI世界株式指数、新興国も含めるとMSCIオールカントリー世界株式指数が多く使われています。
理論的に、株式リスクは市場リスクと個別銘柄リスクに分けられます。市場リスクは株式市場全体の動きに影響を受ける部分で、個別リスクは企業の収益状況や財務状況によって影響を受ける部分です。前者は一般的にベータ(β)と呼ばれ、後者はアルファ(α)とも呼ばれます。
また、この個別リスクをさらに要因分解し、バリュー(割安)、グロース(成長)、規模(大型/小型)といったスタイル・ファクターでとらえる動きも出ています。スタイル管理によってリスク管理を精緻化するという手法から、ルール・ベースでスタイルに投資をするスマートベータという運用手法が出てきています。一般的には、アクティブ運用よりも低位な運用報酬となっています。
従来、年金運用では、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の4資産クラスの区分が一般的でした。しかし、昨今では、企業のグローバル化、先進国での低金利・マイナス金利環境、為替ヘッジ手法の定着を受け、世界債券、世界株式の2資産クラスで考えるケースも増えてきています。
海外の公的年金でも、ベースとなる政策資産配分をリファレンス・ポートフォリオと称して、債券と株式の2資産クラスにして、配分の自由度を高め、その内訳としてサブ・クラスやオルタナティブ資産を段階的に投資する手法も用いられています。
川原 淳次
野村アセットマネジメント株式会社
マルチアセット&ソリューションズ担当CIO
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