経済について語る専門家には、大きく4つの分類があります。種類の違う経済専門家たちは、互いにけん制し合っていますが、投資家の目線で見るならば、それぞれ参考にすべき点、また注意すべき点があるのです。自身は「景気予想の専門家」を名乗る、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

景気予想屋と市場予想屋、似ているようで全然違う

景気予想屋と市場予想屋は、まったく違う職業なので、優劣や貴賤はありません。筆者はたまたま仕事上は景気予想屋ですが、趣味で株式投資(投機?)をやっているので、その際には株価予想屋の話を聞きます。

 

というわけで、読者におかれても、自分の興味関心によって両者を使い分けていただければと思います。仕入れを増やすか減らすか、設備投資計画をどうするか、といった関心であれば景気予想屋、株式投資で儲けたいのであれば株価予想屋の話を聞けばよいのです。

 

一般の読者からみて、景気に関する話をしている人が景気予想屋なのか株価予想屋なのかを見分けることは容易ではないかもしれません。そんなときは、金融政策の話を熱心にしているのが株価予想屋で、金融政策の話が少ないのが景気予想屋だと考えればほぼ間違いないと思います。

 

株価予想屋が経済指標以上に重視しているのが金融政策ですが、景気予想屋は金融政策にあまり興味を示しません。とくにゼロ金利時代に金融が緩和されようと景気への影響は(株価や為替が変動することに伴う間接的なものを除けば)ほとんどないからです。

ビジネスモデルとしては秀逸な「トンデモ屋」だが…

トンデモ屋は、景気を予想しているわけではありません。結論先にありきで、景気が悪くなる理由をできるだけ多く並べ立てるのが仕事ですから。

 

これは、ビジネスモデルとしては優れたものといえるでしょう。第一に、簡単です。景気や経済の悪材料を探すこと自体は難しくありませんから。予想屋たちが苦労しているのは、多くの悪材料と多くの好材料が綱引きをしている結果としてどちらが勝つかを予想することなのであって、多数の悪材料と多数の好材料を並べるだけであれば、それほど難しいことではないからです。

 

そして、固定客が確保できます。世の中にはホラー映画を好む人がいるのと同様、怖い話を聞くのが好きな人が一定数いるわけで、彼らは固定客となってくれるはずです。それから、「現状の問題点をすべて列挙して、起きるかも知れない悪いシナリオをすべて予想して、それらに対する万全の対策を打とう」と考える人が、「結論はともかくとして話は聞きたい」といってくれるかもしれません。

 

あとは、時々本当の大不況が来るのを待つだけです。そのときこそ「私が何年も前から正しく予想していたように、大不況が来ました」と勝ち誇って自慢すればよいのです。

 

どうでしょうか。ビジネスモデルとしては、非常に優れていると筆者は思うのですが。といっても、筆者自身がトンデモ屋になる予定はありません。まだチョッと、自尊心が邪魔をしているので(笑)。

 

今回は以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義

経済評論家

 

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