結婚のときに姓を変えた人が配偶者の死亡後に旧姓に戻すための手続き「復氏届」。姓を戻したい、とだけ考えて手続きを行うと、思ってもいなかったトラブルに発展することも。今回は復氏届の提出方法と提出する場合の注意点などを見ていきます。なお結婚したときは夫か妻のどちらかの姓を名乗ることになっていますが、本記事では夫の死亡後に妻が旧姓に戻すことを前提に考えていきます。

「復氏届提出」の注意点

復氏届を提出すると旧姓に戻って死亡した配偶者の戸籍から離れることになりますが、それだけでは手続きとして不十分な場合があります。

 

復氏届を提出しても夫の親族との関係は続いたままです。正式に縁を切るには「姻族関係終了届」を提出する必要があります(関連記事:『もう姑と縁は切った!「死後離婚」デメリットはないのか?』)また、復氏届で姓と戸籍が変わるのは届け出をした本人だけにとどまります。子供の姓や戸籍を変える場合は別途手続きが必要です。

 

■【注意点1】夫の親族との縁は切れない

復氏届を提出しただけでは、亡くなった夫の両親や兄弟姉妹・親戚との関係は解消されません。

 

亡くなった夫の親族との関係を法的に解消したい場合は、「姻族関係終了届」を提出します。手続きは復氏届と同様で、届出人の本籍地または住所地の市区町村役場に届け出ます。期限はなく、夫の親族の同意は不要です。

 

■【注意点2】子供の姓は変わらない

復氏届で姓と戸籍が変わるのは届け出た妻本人だけです。亡くなった夫との間に子供がいる場合は、子供は夫の戸籍に残ったままになり、母親と子供で戸籍と姓が異なる状態になります。

 

[図表3]復氏届と子供の姓

 

子供の姓を変更して自分の新しい戸籍に入れたい場合は、次の2つの手続きが必要になります。

 

・「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出して許可を受ける

・市区町村役場に「入籍届」を提出して子供を戸籍に編入する

 

これらの手続きは子供本人がすることになっていますが、15歳未満であれば親など法定代理人が手続きをします。

 

【子の氏の変更許可申立書の提出方法】

・届出人:子供(15歳未満であれば親など法定代理人)

・提出先:届出人の住所地の家庭裁判所

・手数料:800円、連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって必要な金額は異なるが数百円程度)

・必要書類:申立書、子供と父・母の戸籍謄本

 

【入籍届の提出方法】

・届出人:子供(15歳未満であれば親など法定代理人)

・提出先:届出人の本籍地または住所地の市区町村役場

・手数料:なし

・必要書類:入籍届、戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合に必要)、家庭裁判所の審判書の謄本、印鑑(認印でもよいがスタンプ印(シャチハタ)は避ける)

 

復氏届の提出や子供の姓の変更については、子供が15歳未満であれば母親自身の意思だけで手続きができます。しかし手続きをするかどうかは、一度子供の気持ちになって考えることも大切です。親の事情を知らない子供にとっては、母親と姓が違ったり姓が突然変わったりすることに戸惑う場合もあるでしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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