ドラマのようですが、葬儀後に婚外子の存在が発覚するケースは、現実でも起こり得ます。四十九日も遺産分割協議も終了したあと、突然現れた婚外子を名乗る存在に、相続人はどう対処すればいいのでしょうか。また、婚外子が相続権を主張するにはどんな手続きが必要なのでしょうか。相続分の規定や死後認知のポイントについて、長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

婚外子の登場で「遺産分割協議」はやり直しになる?

民法910条には次のように定められています。

 

【民法910条】

相続開始後認知によって相続人となったものが遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

 

どういう意味かといいますと、相続開始後に認知を請求して相続人となった婚外子は遺産分割等が終わってしまっていたとき、遺産分割のやり直しを請求することはできずに、金銭で請求ができるということとなります。

 

今回のケースでいえば、Zちゃんは、遺産分割のやり直しを求めて、不動産が欲しい等とはいえません。しかし、法定相続分は3分の1なので1億円をXさん、Y子さんに請求できる、即ち、Xさんに5000万円、Y子さんに5000万円請求できることとなります。

 

したがって、今回の答えは、③となります。

 

今回は、亡くなってから婚外子が現れたというケースでしたが、亡くなって初めて、「母親と結婚する前に別な女性とのあいだに子どもがいた」「父親と結婚する前の別な男性と結婚していて子どもがいた」ということが相続手続をするために戸籍を取って発覚することは、意外にあります。そういう場合は相続手続が大変になります。婚外子の問題も含めて生前に弁護士に相談しておいたほうがよいかもしれません。

 

 

高島 秀行

高島総合法律事務所

代表弁護士

 

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