リースバック物件の賃貸運用における「複数の注意点」
売主のローン債務を肩代わりし、所有権移転後は売主をそのまま賃借人として受け入れる、これがリースバックの賃貸運用スタイルです。リースバック物件はローン残債とほぼ同額で売却されるので、物件によっては相場価格より安い場合もあります。また賃料は売買価格の1割前後を年間家賃の目安としている契約が多いようです。すなわち、リースバックは利回り10%以上の収益も見込めるということです。
リースバックの売買取引でオーナーが注意すべきは、売主の人柄や属性です。バブル期など金利が高い時期にやむを得ず購入した人なのか、支払い能力がないのに営業マン等にいわれるがまま購入してしまった人なのか。家賃の支払いをコツコツと続けてくれそうな人なのか、払えなくなっても開き直り、居座ってしまいそうな人なのか。契約となれば長い付き合いとなる相手ですから、慎重な見極めが必要です。
そしてもう一点、近年では賃貸借契約締結の際に家賃保証会社との契約が通例となっていますが、リースバックに伴う賃貸借契約の場合は審査が通りにくいこともあるようです。
バブル時代の「普通」を信じられないかもしれないが…
1980年代半ば(バブル期直前)、民間金融機関の住宅ローン(店頭)金利は5%前後でした。その後、日本経済の好転(バブル景気)で一気に8%の大台に乗り、一時は9%近くまで上昇しましたが、バブル経済の崩壊によって徐々に下降、1995年以降は現在の2%台に落ち着きました。
バブル全盛期にマイホームを購入したのは、その当時働き盛りだった30~40歳代、現在では60~70歳代の人たちです。
仮に30歳で返済期間35年の住宅ローンを組めば、65歳になるまで支払いが続くことになります。法的には65歳まで雇用契約が守られていますが、このご時世、勤務先の経営悪化による早期退職勧告や、倒産による失職のリスクも十分考えられ、ローン返済満期まで安定した収入が得られるとはいい切れません。失職は免れたとしても、副業やアルバイトを並行しなければ、資金繰りができなくなるかもしれないのです。
これからマイホームを購入予定の人たちは、バブル期の金利を見て「なんでこんな高い金利なのにローンを組んだのか?」と驚くとともに、おおいに疑問を感じることでしょう。しかし、当時の人にとってはこの数字は当たり前のもので、現在のような超低金利時代がやってくることなど、まったく予測できなかったのです。
だとすると逆に、今後は金利の急上昇が起こるかもしれません。そうなれば、いまが不動産購入のラストチャンスであるという見方も、一方ではできるのかもしれません。
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