子どものいる世帯にはありがたい、児童手当。中学生までの子ども1人当たり、1万~1万5000円が給付されますが、所得制限がありました。それでもゼロになることはなかったのですが、法律の改正で年収1200万円以上の場合はゼロになることが決定。高給取りなのだから問題ない、とする一方で、当事者からは不平不満も聞こえてきます。

年収1200万円以上なら、児童手当給付はゼロに

5月21日、参院本会議で「改正児童手当関連法」が可決、成立しました。これで2022年10月から、世帯主の年収が1200万円以上の場合、児童手当の給付がなくなります。

 

そもそも児童手当は、一定の年収以下の場合、3歳未満1人に対して1万5000円、3歳から小学生までは、第1子、第2子に対して1万円、第3子以降は1万5000円、中学生には1人に対して1万円が支給されるものでした。

 

「一定の年収」というのは、夫婦で高いほうが基準となり、扶養家族が3人(たとえば妻と子ども2人)の場合は960万円。それよりも所得が高い場合は、「特別給付」として、子ども1人あたり5000円が支給されています。

 

今回の改正では、この特別給付を世帯主の年収が1200万円以上なら支給を打ち切るというもの。1200万円に満たない場合は、これまで通り支給されます。

 

対象から外れる子どもは、60万人強ほどで全体の4%に当たるといいます。

 

今回の改正、以前から議論されていましたので、あまりインパクトのあるものではないかもしれません。

 

「年収1200万円、なんて、高給取りなのだから、給付金がなくなっても痛くも痒くもないだろう」

 

多くの人はそう考えているでしょうし、今回の改正に関しては他人事でしょう。しかし当事者からは「高給取りと言われているけど、生活はまったく楽ではない!」と悲鳴に近いものもよく耳にします。

 

今回給付の有無の基準となる、年収1200万円の会社員を例に考えてみます。

 

楽だと思っている?(※画像はイメージです/PIXTA)
楽だと思っている?(※画像はイメージです/PIXTA)

年収1200万円…手取りはいくらか?

仮に賞与4.5ヵ月分と平均的な給与体系だとすると、月給は75万円。そこから所得税や住民税、社会保険料が引かれ、独身の場合は手取りは50万円ほどになります。

 

子どもがいる場合、15歳以上であれば扶養控除があります。15歳未満だと控除がないのは、子どもが中学生以下であれば児童手当が支給されるためです。

 

また会社員であればおなじみの配偶者控除は、月給75万円の場合はありません。仮に扶養が3人(妻、15歳~18歳の子ども2人)の場合は、手取り額はおおよそ51万6000円ほどになります(関連記事:『月給30万~100万円…「手取り額・年収」早見表』)。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性会社員の月給(きまって支給する現金給与額)は、41万6800円。中学生までの子どもがいるとなると、40代くらいでしょうか。月給75万円、年収1200万円の会社員は、平均よりも20万~30万円ほど、高い月給を手にしている人たちと考えられます。

 

【大卒男性会社員の平均月給(きまって支給する現金給与額)】

 

「20~24歳」24万8700円

「25~29歳」29万7200円

「30~34歳」34万8100円

「35~39歳」39万9600円

「40~44歳」44万3600円

「45~49歳」48万4300円

「50~54歳」54万6400円

「55~59歳」53万1300円

「60~64歳」38万9600円

「65~69歳」36万3400円

「70歳以上」37万7500円

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』

 

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