(※写真はイメージです/PIXTA)

老後資産の作り方に正解はなく、年齢や貯蓄額、年金額などによって異なります。そのため、資産内容を把握し、家計に応じて対策を練る必要があります。今回は、年金の受取見込額が月15万円で、独身の55歳男性会社員を例にあげ、老後対策について考えます。※本連載は、大江英樹氏の著書『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

③iDeCoだけでなく、つみたてNISAも始める

さて、Eさんの問題点は企業年金がないことと、手持ちのお金が少ないということでした。企業年金のない分は長く働いて年金を繰り下げすることでカバーできますが、問題は手持ちの金融資産が100万円しかないことです。

 

冒頭にお話したように単身者の場合、要介護になる可能性を考えるとできるだけ手持ちの現金を多くしておきたいものです。そこでここからでも決して遅くありませんので、税制優遇を使った積立投資を始めるのが良いと思います。

 

手段としてはiDeCoが優先順位第一ですが、Eさんの場合、65歳まで積み立てても10年しかありません。ということは積立限度額上限いっぱいを積み立てても267万円にしかなりません。

 

したがって、iDeCoだけではなく、つみたてNISAも同時に始めるべきでしょう。つみたてNISAの利用上限額は年間40万円です。こちらは年数の制約がありませんので、70歳まで働く間の15年間、毎年積み立てて行けば600万円となります。

 

iDeCoと合わせて867万円ですが、運用益を低めに見積もったとしても1000万円近くにはなると思います。これでも必ずしも十分とは言えませんが、退職金の1000万円も合わせると2000万円ぐらいにはなりますので、単身者の医療・介護のための費用としてはまずまずだろうと思います。

 

また、iDeCoでの積立てに掛け金を出した場合、その掛け金の全額が所得控除されますので、10年続けて積み立てれば税金の還付も数十万円は見込めます。

 

【ポイント】
どうやらEさんの場合のキーポイントは、なんと言っても長く働くことに尽きるようです。今後の日々の収支については、赤字が発生することのないよう、厳格に管理していったほうが良いでしょう。

加えて、55歳の時点でも遅くないので、「iDeCo」や「つみたてNISA」といった税制優遇のある制度を活用することも欠かすことはできません。これができれば、70歳からの年金受給と手持ち資金でゆとりある生活を送ることが可能になると思います。

 

大江 英樹

株式会社オフィス・リベルタス 代表取締役

1級ファイナンシャルプランニング技能士

 

 

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