重大な事故、重い病気、一命を取りとめても重い障害が残り……そのようなとき、多額の介助費用が必要です。障害年金がもらえるとしてもお金があるにこしたことはありません。生命保険に加入していれば、「高度障害保険金」として死亡保険金と同額の給付が受けられます。今回は「高度障害保険金」について、税の取り扱いなどを中心に見ていきます。

高度障害保険金と死亡保険金…どちらにする?

高度障害保険金を受け取ると保険契約は終了し、その後死亡したときに死亡保険金を受け取ることはできません。したがって、けがや病気で被保険者が高度障害状態になったときは次のどちらかを選択することになります。

 

●高度障害保険金を受け取る

●高度障害保険金を受け取らず死亡時に死亡保険金を受け取る

 

どちらを受け取るかの選択では、生命保険に加入した目的や税制上の違いのほか、今後の介助に必要な費用なども考慮する必要があります。

 

特定の人に財産を与える目的で生命保険に加入したのであれば、被保険者本人が高度障害保険金を受け取るとその目的を果たすことができなくなってしまいます。

 

相続税の納税資金を準備する目的で加入した場合も同様です。

 

さらに前出のように、使い残した高度障害保険金に相続税が課税される場合は、非課税限度額を適用することができません。相続税のことだけを考えると、高度障害保険金を受け取ることで不利になるケースもあります。

 

一方、高度障害状態になれば多額の介助費用が必要になります。

 

障害年金が支給されるとしてもそれだけでは不十分な場合もあって、高度障害保険金が生活の支えになる点は無視できません。

 

 

相続税申告が必要な場合は

被保険者が高度障害状態になったときに受け取ることができる高度障害保険金には、所得税、贈与税といった税金は課税されません。ただし、受け取った保険金を使いきらずに死亡したときは、その残った金額が相続税の課税対象になります。

 

被相続人の財産と使い切らなかった高度障害保険金を合算して相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税申告が必要です。

 

相続税申告は保険金の他、不動産、預貯金、株式など被相続人から相続した全ての財産を洗い出し、計算・評価する必要がある難しい税務です。申告が必要な場合には、まずは相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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