ニュージーランドにおいて不動産販売に携わる者は、資格の取得だけでなく、常に知識面でのブラッシュアップを続けていく必要があります。今回は、そんなニュージーランド不動産の売買仲介業務に必要な資格と、現在の住宅供給の状況について見ていきます。

資格の保持には年間「最低20時間」のコース受講が必要

ニュージーランドで不動産売買仲介の業務をするには、資格が必要になります。

 

Licensed Salesperson REAA 2008という資格に加え、マネージメントクラス、すなわち不動産仲介会社を設立できる立場の人間は、さらにLicensed Agent REAA 2008を取得し、両方ともに毎年更新していかなければなりません。

 

 

1年のうち、最低20時間はセミナーなどのコースを受講し、知識のフレッシュアップを維持する必要があります。これを受講しないと資格が失効となり、訓練をいちからやりなおすという厳しいものになっています。

 

そのコースの一つとして、筆者が所属しているフランチャイズ会社Harcourts(ハーコウツ)グループでは、年に一度カンファレンスを開催しています。

 

この行事に出席するとポイントが取れるので、20時間のコースの中に含めることができます。このように日ごろから知識向上に励み、毎年資格を維持する努力をしているのです。

 

ハーコウツでは、ウェブサイトを主体とするITシステムを構築し、特に今年のカンファレンスにおいてはデジタル化を奨励しています。

 

例えば、オープンホーム(内覧会)に訪れた訪問者の連絡先を伺う際、以前は紙のリストにペンで記載してもらっていました。未だにそうやって行動しているセールスマンもいますが、ハーコウツではタブレットによる訪問者登録を奨励しています。

 

また広告についても、紙面に比べウェブ上で物件検索をする方が多くなってきたことに加え、ボタン一つで情報を変更できるという面で大変便利なため、ウェブ広告費に予算を高くする傾向が出ています。

 

昔は、資格更新の際に試験をする必要がなかったため、知識の向上もなされていなかったのですが、現在は定期的に訓練を受け、知識向上を努めています。

 

カンファレンスでは、各種部門の本社マネージメントチームが最新のデジタル化情報を発表したり、日々オークションで貢献しているオークショナーのトップを選ぶ、オークショナーコンテストも開催されています。

 

また、年度末には国内全体の表彰式が開催され、1年間の功労を称える場にもなります。

 

住宅価格は1990年に比べて「4倍以上」にまで上昇

1990年には10万NZドルだった土地が、2016年の現在、45万NZドルに上昇しています。

 

建設費も上昇しているため、45万ドルで土地を購入し家屋を建てるとなると、100万NZドル近く必要となります。現に、オークランドの平均家屋の価格は95万6000NZドル、国内平均は57万8000NZドルという数値になりました。

 

そんななか、住宅供給はどうなっているのでしょうか? 昨年4月のデータでは2万5000件の建設許可が出たのですが、今年は、今のところ2万8000件の認可が下りているとのことです。これは、過去11年間で一番高い数字となります。

 

4月現在で2361件の認可が下りており、その詳細は、

 

一戸建て=1742件

タウンハウスなどの集合住宅=335件

リタイアメントビレッジ=259件

アパートメント=25件

 

となっています。日本と同じくニュージーランドでも高齢化が進んでいますが、この国では、子どもは16歳になったら独立しなさいとばかりに家を離れます。

 

ニュージーランドは個人主義ですから、親は親、子は子だけで生活基盤を養う傾向があります。近頃では、親が高齢になると自宅を売却し、リタイアメントビレッジに入居するのがトレンドな時代になってきました。

 

 

アパートメント開発は、1995年〜2005年のピークと比べると低くなってはいますが、オークランド市内だけではなく、郊外の中高層アパートメント開発が目立ってきました。現状、住宅供給はまだまだ追いついていないと言えるでしょう。

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