ニュージーランドの人々は、日本とは比べものにならないくらい広い家に住んでいる…そんなイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし近年では住宅不足の影響で、ニュージーランドの住宅事情も大きく変化しています。今回は、ニュージーランドで「共同住宅」が人気となりつつある理由を見ていきます。

9年ぶりの政権交代…NZ史上三人目の女性首相が就任

連載第107回で、ニュージーランド国政選挙の途中経過を報告しましたが、つい先日、労働党、ナショナルファースト党、グリーン党が連立した新政府が誕生しました。

 

ジミーシップリー、ヘレンクラーク首相に続く三人目の女性首相、ジャシンダ・アーダーン労働党党首が首相の座につきました。与党の国民党が破れたため、9年ぶりの政権交代となります。

 

移民政策・不動産状況について様々な見直しを行うとのこと。この先100日間で、新政権の方針が決まっていくことでしょう。

オークランドで望まれる「集合住宅」の建設

昔のニュージーランドでは、土地1000~1500㎡の中に、3~4LDKの家を建設するのが普通でした。弊社が取り扱っているワイカト地方(テアロハ、プタルル)では、まだその余韻が残っています。

 

しかしオークランドを中心に、広い土地が2分割、3分割され、だいたい約500㎡の土地に一つの家という形になってきました。新興住宅地では更に土地が狭くなり、一つの家につき300㎡台の土地となっています。

 

ニュージーランドヘラルド新聞にて、日本人建築デザイナーの住宅が紹介されました。オークランド工科大学の教授は、以下のようなコメントを出していました。

 

「オークランドは年に7000戸未満の住宅が建設されているが、我々は年間15000戸の家を必要としており、住宅不足は深刻である」

 

 

そんな中、狭い土地を有効活用するため、人々の生活スタイルが変化しつつあります。ニュージーランド人の間で、共同生活をすることが見直されてきているのです。中でも、日本の大学生、社会人がシェアハウスの利用が盛んになっています。ここオークランドでも、昔から一軒屋を複数の学生で共同生活をする風習がありました。

 

寝室は個々にありますが、キッチン、バスルーム、リビングルームは共有し、住宅不足を共同生活で補います。

 

とはいえ、1990年半ばからワンルームマンションの建築が盛んになり、現在も市内には複数のアパートメントが次々と建設されています。しかし、住居をシェアすることは、都会暮らし特有の孤独感を癒す効果もあり、シェアハウスの価値が見直されているのです。

 

ヨーロッパでは、ファミリーホームにおいても共同生活をします。アパートメント型の家に住み、庭は子供達が遊べる共有の公園。寝室は個々にありますが、キッチンは共有で、食事も共有します。

 

学生、独身社会人ならともかく、家族単位での共同生活は成り立つのかは少し疑問ですが、住宅不足という課題が、人々のライフスタイルと住宅事情を変えつつあるようです。

 

 

 

オークランドでは、北部のアルバニー地区、西部のワイタケレ地区、南部のパパクラ・プケコへ地区において、約800㎡~約1500㎡土地があれば集合住宅の建築を許可する動きがあります。

 

以下の写真は、プケコへにある一戸建て、及びタウンハウスの開発物件です。

 

 

土地の広さは約300㎡。平屋の3~4LDKの建築もあれば、ガレージが隣とくっついている2階建てのタウンハウスもあります。敷地内にコミュニティー広場を作ったり、中には学校まで建設される地域もあります。

 

住宅不足を解消する方法として、狭い土地を有効活用しながら戸数を増やす、又は共同住宅を建設し人々の住む場所を確保します。

日本古来の「長屋生活」が今や海外でも注目!?

今となっては、邸宅住まいは一般庶民には夢の話になりつつあります。しかし、ニュージーランドの人々はそれを求めず、触れ合いを大切にしながら居住空間を効率的に使っています。ニュージーランド、主にオークランドの住宅不足と平行して、人々の生き方を考えさせられる今日この頃です。

 

日本古来の長屋生活。これが現代まで生き続け、今や海外にも注目されるようになっています。土地の活用方法や、人間の交流が徐々に見直されてきています。オークランド一帯の住宅は、広い邸宅が並ぶ住宅地と、集合住宅が並ぶ地域と分かれ、若い世代、定年層を中心に集合住宅でのライフスタイルが主流になりつつあります。

 

住宅戸数を増やそうという政策は、外国人投資家にとって新築物件開発投資のチャンスでもあります。日本人ならではのエッセンスを取り入れ、他の住宅と差別化する開発方法も、なかなか興味深い投資法となっています。

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