本連載は、グループ全体で約246兆円(2020年12月末現在)の資産を運用している世界有数の独立系資産運用会社であるキャピタル・グループが提供するレポートを転載したものです。

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保有コストの低下

消費者にとって、EVの魅力を高めるのは車両価格の下落だけではありません。「消費者は総保有コストを内燃エンジン車と比較したうえで、EVを検討しています」と、マーフィーは指摘します。たとえば、一般的なバッテリー式自動車は化石燃料車よりも、整備費や維持費がはるかに少なく済む見通しです。

 

ガソリンは酸性で腐食性の液体でエンジンを摩耗させやすく、定期的な整備が必要です。米運輸省の試算では、平均的な米国人ドライバーの1マイル当たり費用は、ガソリン代が12米セント(1キロ当たり約7.5米セント)、整備費が9米セント(同5.6米セント)となっています。

 

葛によると、電力は一般にガソリンよりも安いため、EVは保有期間全体にわたる維持費が少なくなります。

ソフトウェアの重要性

コスト比較だけでなく、顧客体験全般を変革するもう一つの重要なイノベーションが、ソフトウェア定義と*1EV(software-defined EVs)の導入です。ソフトウェア定義EVでは、無線(OTA)通信を使ったソフトウェアのアップデートによって、機能性や安全性の向上や、エンターテインメントの提供が可能となります。

 

*1 ソフトウェア定義:従来型の自動車がハードウェアを中心に開発され、機能の一部を補完するためにソフトウェアを用いているのに対し、統合されたソフトウェアによってハードウェアを制御する仕組み。

 

もちろん、OTAアップデートで自動車に関わるあらゆる課題が克服されるわけではありませんが、将来的にはより革新的なメーカーが、自ら学習して改善し、安全性を高め、より多くのサービスを導入できる車両を開発すると、マーフィーは予想しています。

 

「こうしたアプローチにより、EVメーカーは経年に伴う大幅な車両価値下落を一部回復できる」と、マーフィーは指摘します。

 

マーフィーは、自動車の販売だけでなく、バッテリー管理、車内エンターテインメント、安全性の向上、自動運転技術などを提供するサブスクリプション・パッケージも展開する可能性を秘めた企業を特定しようとしています。

 

「こうしたビジネスモデルを最も早く構築できる企業を特定することが重要です。また、今ある製品がソフトウェアのアップデートを通じて、5年後にどれだけ改善されるのかにも注目しています。」

現実味を増すドライバーレスカー

一部モデルにとって最も重要なソフトウェア・アップデートは、自動運転になるとみられます。ドライバーレスカーは5年後には実現できる、と10年くらい前からずっと言われてきましたが、エッセイストであり作家のウィリアム・ギブソンがかつて皮肉ったように、「未来は既にここにある。まだ均等に行き渡っていないだけだ」というのが現状です。

 

グーグルの自動運転車開発部門であるウェイモは2017年初め以来、米アリゾナ州フェニックス周辺で自動運転の実証試験を実施してきました。GMの同部門であるGMクルーズは、ドライバーレスカーの試験をカリフォルニア州サンフランシスコで実施しており、中国のスタートアップ企業であるAutoXは、バックアップの運転手なしで完全無人の自動運転車のフリート(事業用車両)を深圳に展開しています。

 

弊社グループの株式ポートフォリオ・マネジャーのクリス・ブックバインダーは「今後数年間で、より多くの市場に自動運転車が投入されるとみられます。そして投資家はこれが科学実験ではなく、実際のビジネスだと理解し始めるでしょう」としたうえで、次のように述べています。

 

「私の考えでは、2030年までに自動運転のEVフリートが世界中の大半の主要都市を中心に広く普及するでしょう。多くの人々は(趣味で馬や自転車に乗るのと同じように)自動車を保有し続けているでしょうが、個人所有の自動車の位置づけは必需品から贅沢品へと変化していくと考えられます。」

 

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