何を差別化し、何をデザインするのか?
変化する入居者ニーズに対して、賃貸物件にも「差別化」が必要だということで、設備を新しくしたり、クロスの色を変えたり、オシャレなデザインを入れたリフォームやリノベーションが流行っています。
しかし、言葉だけで差別化と言っても、何を差別化するのでしょうか? 「最近の入居者ニーズに合わせたリフォームです」とか「他の物件と差別化したデザインでリフォームします」なんてことを言われるとそれっぽく聞こえてしまいますが、何を差別化して何をデザインするのかが、どこか置いてけぼりにされているケースが増えてきているように思います。
例えばわかりやすいところで、「和室は人気がないから洋室にするために床をフローリングにリフォームする」と言葉だけで聞くと正解のように思えるのですが、もし、この物件のお風呂にシャワー設備や給湯設備がなかったらどうでしょうか?
和室をフローリングにするなら、シャワーや給湯設備を導入することが優先事項となります。それをせずにフローリングにしたところで、それは全くの無駄金になってしまう可能性が高くなります。
さらには、床だけフローリングに変えて押し入れは以前のままなんて、お金を無駄に使っていることの象徴的なパターンです。文章で改めて言われると当たり前のように感じると思いますが、実際に、そんなお部屋を筆者は何十部屋、何百部屋と見てきました。
リフォームしても「決まらない部屋のまま・・・」の理由
リフォームしたものの空室が埋まることなく無駄金になっている、そんな無駄金リフォーム&リノベーションを、少し具体例も含めてご紹介しましょう。
とある家主さんに、「佐久川さーん。今回は150万もかけてリフォームしたから、ぜひ見に来て」と言われたので訪ねてみました。
<家主さんが行ったリフォームの概要>
費用…150万円 古い2DKを1LDKにリフォーム
(間取りはあくまでイメージとして捉えてくださいね)
実際に部屋を見に行ってみるとこんな感じで(下記図表1参照)以前よりは、とても良くなっていたのですが、賃貸仲介の営業マンとしては、「家主さん、ごめんなさい。これでは決まりません」というのが本音なのです。
実は、リフォームして自信満々でお声掛け頂いても、営業マンとしては、決まらない理由・本音を言いにくいものなのです。
例えば写真にもあるように、せっかく新品のキッチンをつけてもお湯が出ないとか、昔の古い砂壁をそのまま新しくしていたりとか、なぜかわかりませんが古い照明をつけていたりなど、家主さんの使ったお金や思いなどが、全く無駄金になってしまっています。
次回は、そのようなリフォームが無駄金になってしまっている、無駄金リフォーム、無駄金リノベーションの典型例をご紹介していきたいと思います。