退職金について財産分与で分配を受けるには、支給が確実であると見込まれていることが必要になるため、配偶者にある程度の勤続年数があり、退職すればその金額が支給される見込みがあることが必要になります。
なお、必ずしも、退職金の全額が対象になるわけではなく婚姻期間に応じた金額が対象となります。裁判例として、下記の2種類があります。
②定年退職した場合に受け取る退職金を、将来の給付として分ける
年金は「婚姻期間中の納付実績」に応じて分割される
年金の分割は、婚姻期間中の厚生年金の保険料払込期間に応じて、その1/2の割合で行われます。
平成19年以降に結婚した方は「3号分割」により当然に3号被扶養者は一律2分の1の分割を受けることができます。これ以前の場合は「合意分割」となりますから、当事者間で合意が形成されることが必要になります。
年金分割をすると「将来受け取る年金の半分がなくなる(もらえる)の?」と思う方も多いようですが、そうではありません。
2階建ての年金の1階部分である『国民年金』や、3階部分である『厚生年金基金・国民年金基金』は対象外となります。また厚生年金部分についても、婚姻期間中の納付実績に対して分割するので、将来受け取る予定の年金の半分を分割するわけではありません。
なお、年金は実際に受給年齢にならないと受け取れないので、受け取るのは離婚時ではありません。
また、年金受給資格が実際に発生するのは納付済期間が25年以上であることが必要ですので、せっかく分割したとしても、納付期間がそれ以上ないとそもそも受け取れないこともありますから注意しましょう。年金分割の請求も離婚が成立してから2年までの期間制限にかかります。財産分与も、年金分割も、請求するには時間制限がありますので、注意してください。
水谷江利
世田谷用賀法律事務所弁護士
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】