大好評だった米ミュージカルが「タブー」になった驚愕理由

「雨に唄えば」「巴里のアメリカ人」「踊る大紐育」、数あるヒット作を支えた俳優でダンサーのジーン・ケリー。ミュージカル映画のダンス研究を続ける医師の元来渉氏は書籍『踊る大ハリウッド』で彼の魅力を語っています。今回紹介するのは、「踊る大紐育」のもとになった「オン・ザ・タウン」。

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ミュージカル「オン・ザ・タウン」…好評だったはずが

「ウエスト・サイド・ストーリー」や「屋根の上のバイオリン弾き」の演出、振付けで知られるジェローム・ロビンズが初めて振付けに挑んだのは一九四四年のことであった。作品名は「ファンシー・フリー」。上陸休暇をもらった三人の水兵が真夏のニューヨークの酒場で娘達と楽しむという内容の一幕のバレエである。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

作曲はロビンズと同じ一九一八年生まれのレナード・バーンスタイン。前年、病気のブルーノ・ワルターの代役で急遽ニューヨーク・フィルの指揮を執り脚光を浴びたばかりだった。

 

四十四年四月にバレエ・シアターで上演された「ファンシー・フリー」が評判を呼ぶと、この作品をミュージカル化する話が進んだ。脚本はロビンズ、バーンスタインと交流のあったベティ・コムデンとアドルフ・グリーン。

 

題名は「オン・ザ・タウン」――楽しみを求めて夜の街へ繰り出すという意味である。

 

同じ年の夏、MGMの脚本部門に所属し、メイヤーのお気に入りだったリリー・メシンガーは、ミュージカル「ブルマー・ガール」の映画化権の仕事でニューヨークにいた。

 

MGM・・・メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.)。主に映画やテレビ番組の製作・供給を行うアメリカの巨大マスメディア企業。

 

この時バーンスタインと会った彼女は、製作途中の「オン・ザ・タウン」について話を聞かされる。未完成だった音楽の一節も聞きすっかりこの企画に惚れ込んだ彼女は、メイヤーにすぐに電話を入れた。

 

ストーリーを説明し、脚本家や作曲者の素晴らしさについても伝えた。

 

「まだ聞いたことがない人たちでしょうけど、将来名前が売れるわよ」

「リリー、君の声からすると、ずいぶん入れ込んでるようだな」

 

MGMは完成前の「オン・ザ・タウン」の映画化権を二十五万ドルで買い入れた。準備が整えば早期に映画化されるはずだった。

 

一九四四年十二月二十八日に公演が始まると、メイヤーはエディ・マニックスらと観劇のためニューヨークへ出向いた。しかし、「オン・ザ・タウン」はメイヤーの気に入るような作品ではなかった。

 

現代風の風俗や聞こえてくる不協和音を嫌い、黒人の娘が白人と踊る場面にも不快感を抱いた。この芝居が「わいせつ」で「共産主義的」だと非難した彼は、映画化権を手に入れたことを後悔しながら劇場を後にすることになった。

 

「オン・ザ・タウン」はブロードウェイで四六三回の公演を重ねるヒット作となったが、スタジオはこの企画を握り潰した。

 

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