日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてていくのは「転職」。会社を辞めて収入を増やす人、減らす人……それぞれどれくらいいるのでしょうか?

会社員10人に1人は「転職組」

会社辞めて、他の仕事しようかな……

 

働いていれば、1度は考えたことがあるであろう転職。実際に行動に移した人も多いことでしょう。

 

厚生労働省『令和元年雇用動向調査』によると、転職入職者数は540万9900人で、転職入職率*は10.7%。会社にいる10人に1人は転職者という状況です。

 

性別で見てみると、男性の転職入職者は253万2000人で、転職入職率*は9.3%。一方女性の転職入職者は287万7900人で、転職入職率は12.5%でした。

 

*1月1日現在の常用労働者数に対する、転職入職者数の割合。年齢階級別は6月末時点の常用労働者数

 

最新の2020年上半期の転職入職率を見ていくと、30代後半以降50代まで、女性が男性よりも高く推移しています。

 

会社、辞めた(※画像はイメージです/PIXTA)
会社、辞めた(※画像はイメージです/PIXTA)

 

■2020年上半期の転職入職率

20~24歳:男7.7%/女9.6%
25~29歳:男8.1%/女7.9%
30~34歳:男6.3%/女5.1%
35~39歳:男4.3%/女5.5%
40~44歳:男4.0%/女6.5%
45~49歳:男2.3%/女5.5%
50~54歳:男2.1%/女4.9%
55~59歳:男3.1%/女4.9%
60~64歳:男6.6%/女4.4%

 

産業別の入職者数を見ると、「宿泊業、飲食業」が167万1800人と最も多く、「卸売業、小売業」153万9100人、「医療、福祉」が121万500人と続きます。離職者数も「宿泊業、飲食業」が最も多く154万8000人。「卸売業、小売業」が146万8300人、「医療、福祉」が107万500人と続きます(図表1)

 

出所:厚生労働省『令和元年雇用動向調査』より作成
[図表1]産業別入職率、離職率 出所:厚生労働省『令和元年雇用動向調査』より作成

 

なぜ転職したのか――。前職を辞めた理由から見ていくと、男性は「定年・契約期間の満了」16.6%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が11.2%。女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」が14.8%と最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.5%となっています(図表2)。

 

出所:厚生労働省『令和元年雇用動向調査』より作成
[図表2]転職者前職の離職理由 出所:厚生労働省『令和元年雇用動向調査』より作成

 

また給与への要望・不満に結びつく「会社の将来が不安だった」「給料等収入が不安だった」は30~40代で高まりを見せています。結婚、出産などを経て、子供の教育費や住宅購入費などで、出費が増える年齢。給料を理由に転職に踏み切る人が多い年齢だと推測されます。

 

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